【高校野球】新人記者が追いかけた市和歌山・小園健太…言語化能力に衝撃!将来は是非スポーツ報知で評論を

投球そのものもさることながらクレバーさも光った市和歌山・小園健太
投球そのものもさることながらクレバーさも光った市和歌山・小園健太

 9日に開幕する第103回全国高等学校野球選手権大会。49校のみが甲子園への切符を手に入れられる中で、ドラフト候補と目される選手が地方大会で涙をのむこともある。今春センバツに出場し、練習試合であっても多くのプロスカウトが視察に訪れた市和歌山の最速152キロ右腕・小園健太(3年)もその一人だ。 

 新人記者として小園を追いかけた約2か月。私が感じた今秋ドラフト1位候補投手の最大の魅力は高校生離れしたクレバーさだ。初めての取材でいきなり大きな衝撃を受けた。

 6月5日、和歌山・高野山との練習試合で小園はプロ注目の4番・渡辺大和三塁手(3年)を3打席連続三振。試合後に「相手の4番で力を入れて投げた。1、2打席目は直球を張ってきていると思ったので、直球を見せ球にインコースに変化球を投げられた。逆に3打席目はストレートで押しました」と立て板に水で解説した。過去に取材した大学生の選手や、テレビで見たプロ選手でも取材時に言葉に詰まったり、試合のことを鮮明に覚えていない選手がいる中で、18歳の小園はで自身のプレーを言語化することができていた。

 マウンド上でもとにかくクレバーだ。不安や焦りの表情は一切見せず、涼しい顔でテンポ良く投げ続ける。185センチ、90キロの肉体から放たれる角度とパワーのある直球。スライダーやチェンジアップなどの変化球も巧みに織り交ぜ、三振を取ることも打ち取ることもできる。

 もちろんスカウト陣からの評価も高い。印象的だったのは7月25日、5回コールドで勝利した和歌山大会準決勝(対高野山)を視察した、楽天の愛敬アマチュアスカウトグループ・マネジャーの感想だ。「高校生で直球が速い選手はいる。しかし、制球力や変化球の精度、投手らしい投手では小園がNO1だと思う。ギアを上げても乱れない制球は群を抜いている」と言葉の中に魅力が凝縮していた。

 そして小園を語る上で欠かせないのが、中学時代からバッテリーを組む同じく今秋ドラフト候補の4番・松川虎生(こう)捕手(3年)。貝塚ヤングで中学3年時に全国制覇を果たした2人はプライベートでも仲が良い。4月の小園の誕生日に松川はTシャツをプレゼント。同時に自身も同じものを購入し、修学旅行の際に“おそろい”が発覚した。センバツ後からはともにイエローのグラブを使用し、高校での日本一を目指した。

 迎えた7月27日、県内最大のライバル・智弁和歌山との決勝。市和歌山は1―4で準優勝に終わった。小園は完投し、7安打4失点(自責2)で三振は0。彼が負ける姿を見るのは初めてのことだった。

 敗戦直後は涙を流していたが、取材の時はすっきりした表情をしていた。それでも松川に対しては、「5年半バッテリーを組んで楽しかった。これで最後かという気持ち。最後は甲子園で終わりたかった」と涙ながらに絞り出した。

 大会期間中には度々「後ろを信頼して、チームで守る」と口にしていた。「この2年半で最高の仲間に出会えた」。クレバーでありながら、仲間を大切にする人間性を持ち、悔しさで涙を流す。そんな熱い一面も小園の魅力だと感じた。

 取材した2か月で、私は肌が真っ黒になった。少しでも近くで小園の投球を見るために直射日光降り注ぐ客席最前列で、ネットにしがみつくように見ていたためだ。体重は3キロほど落ちた。小園の投球に夢中になり、食事をとるのも忘れたためだ。野球経験ゼロ、知識もほとんどなかった私に、野球の面白さを教えてくれたのは18歳の野球少年だった。

 高校最後の試合後、小園はプロ志望を明言。これからも応援したいと心から思う。プロの舞台で小園が打者を次々と抑える姿、そしてかなり先の話になるが、引退後はその“言語化能力”を発揮してスポーツ報知評論家として本紙で解説をする姿に期待したい。

(記者コラム=高校野球担当・南樹広)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

野球

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請