2日の陸上女子200メートル予選に出場予定だったベラルーシのクリスツィナ・ツィマノウスカヤ(24)が1日、チームによって羽田空港に連れていかれたとロイター通信が報じた。本人に帰国意志はないといい、羽田空港で警察などに保護を求めた。外務省関係者も空港に向かったという。人権団体関係者によると「彼女は安全な場所に移動している」といい、亡命申請する意向があるという。
騒動の発端はツィマノウスカヤが自身のインスタグラムでチームの不手際を批判したこと。4×400メートルリレー(5日実施)に出場する予定の複数選手が、必要なドーピング検査を受けておらず出場資格が得られなかったことを指摘し、「代わりに走ったこともない自分がメンバーに入れられた」と主張していた。ヘッドコーチから「上層部の命令で代表から外す」と通達され、帰国するよう圧力を受けていたという。
事態を受けた国際オリンピック委員会(IOC)は、ベラルーシ五輪委員会に事態を明確にさせるよう求めたと声明を発表した。現時点で、ベラルーシ五輪委員会からの反応はない。
ベラルーシは「欧州最後の独裁国家」とも呼ばれる。AP通信は同国五輪委員会が、アレクサンドル・ルカシェンコ大統領とその息子、ビクトル氏が25年以上にわたって主権を握っていることも伝えている。