川口能活コーチ、マイアミの奇跡を呼んだ“紙”で日本のPK勝利を後押し

川口能活GKコーチ(左)
川口能活GKコーチ(左)

◆東京五輪 サッカー男子準々決勝 日本0(PK4―2)0ニュージーランド(31日・カシマスタジアム)

 PK直前。川口能活GKコーチは、GK谷晃生に“紙”を見せた。相手キッカーの情報が書かれていたが、谷は「見ていたんですけど、自分は覚えきれなくて(笑い)」。川口コーチは、背中を押した。「自信を持てば、絶対止められる。ヒーローになってこい」。

 6大会前の96年アトランタ五輪。当時22歳の川口は、ブラジル相手にシュート28本を防ぐ離れ業をやってのけ、“マイアミの奇跡”の立役者となった。ロナウドやリバウドら世界的スターがそろう相手。1次リーグ同組に決定した後は、ミーティングルームや食事会場など至る所の壁に、ブラジル全選手の特徴が書かれた“紙”が張られていた。

・GKジダはシュートセーブがうまいが、守備陣との連係とクロスの処理に難がある

・MFジュニーニョはとんでもないけど、必ずドリブルから入る

 試合中は「直感」だったという川口だが、「知らず知らずのうちに、脳内にデータが刷り込まれていた」。その証拠に、相手のシュートを防いだシーン、そして伊東の得点シーンも壁に張られた“紙”の通りだった。

 あれから四半世紀がたった。川口はコーチとして、選手に“紙”を授けた。谷は「直感を信じた」と振り返ったが、直前に見たデータは直感の支えになったに違いない。

 ちょうど17年前の04年7月31日。川口がアジア杯準々決勝・ヨルダン戦でPKを4人連続ストップして劇的勝利を飾った。この日はコーチとして自身の経験を還元し、再び後世に語り継がれるPK戦を制した。運命を感じずにはいられない。こんな原稿を書くと、川口コーチはきっと言う。「頑張ったのは、選手だよ」。しかし、ベンチに川口能活がいるという選手の安心感は計り知れない。(田中 雄己)

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