男子100メートル日本勢全3選手、予選でまさか17年ぶり全滅 山県亮太「何かが違う」

スポーツ報知
掲示板を見上げる山県(共同)

◆東京五輪 男子100M(31日、オリンピックスタジアム)

 陸上男子100メートル予選で、9秒95の日本記録を持つ山県亮太(29)=セイコー=が10秒15(追い風0・1メートル)の3組4着で敗退するなど、日本勢全3選手が予選で姿を消した。出場選手が全員準決勝進出を逃すのは、04年アテネ大会以来17年ぶり。山県は今大会日本選手団主将を務め、32年ロス五輪6位の吉岡隆徳氏以来、89年ぶりの決勝進出が期待されていた。レース序盤で狂った勝算を、陸上担当の細野友司記者(32)が「見た」。

 地面をとらえるスパイク音が小気味よく響いた。歓声はない。そして、山県も伸びない。「すごく緊張した。こういう舞台はいつも特別な気持ちがある」。同組のヤコブスは、イタリア新記録の9秒94。明暗は分かれた。10秒15の4着。体一つで世界に挑む夏は、まさかの結末。「悔いは残る。チャンスがあるならもう1回走りたい」と絞り出した。

 代名詞とも言える序盤で抜け出せない。89年ぶりファイナリストを目指す準決勝へ消耗も考え、伸びやかに10秒0台―。そんなもくろみがあった。「思いきり前に出ていたら、体力を温存する意味で楽に走ることもイメージしていた。飛び出しがうまくいかず、余裕がなくなった」。手足を操っても、海外勢の背中は遠ざかった。「納得いく調整はしたけど、納得いく走りではなかった。何かが違うんだろうな」とつぶやいた。

 “五輪史上初”の10秒間だった。今年6月に日本記録9秒95。山県は、125年の近代五輪の歴史で、初めての日本人9秒台スプリンターとして駆けた。「記録を持って五輪本番を迎えられることは自信にできる」。3組では自己記録、今季記録ともヤコブスと並び最速。ただ、速さと強さは時に別物になる。「100メートルというか、陸上、スポーツってそういうもの。悔しいけど切り替えるしかない」と、気丈に受け止めた。

 自国開催の五輪で、日本選手団主将の重責を担った。「自分で良いのか―」。少しばかり考えることはあった。コロナ禍で開催への賛否が分かれる中、「力を出し切ることに意味がある。一生懸命プレーする姿を前面に出すことが、意味あることなんだろうと思った」。開会式(7月23日)では選手宣誓。約1週間後の国立は、ホロ苦い場所になった。

 リオでは決勝ラインの10秒01まで0秒04、距離にして40センチ。今回はタイム順での準決勝ラインまで0秒03、30センチ差だった。体感が難しいほどの小差で、挑戦は終わった。悲願の頂点に挑む400メートルリレー(5日予選)へ、「このレースの反省とリレーのイメージをすりあわせて準備したい」。成すべきことはまだ、残っている。(細野 友司)

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