ボクシング女子フェザー級で入江聖奈(20)=日体大3年=が、女子初の銀メダル以上を確定。母のマミさんが、幼少期の入江を語った。
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一人娘のファイトを母・マミさんは、テレビで見届けた。マミさんが愛読していた漫画「がんばれ元気」がきっかけでボクシングを小学2年から始めた。
「私がたまたま読んでいた『がんばれ元気』を聖奈が見つけてね。まさかハマるなんて思わなかった(笑い)」。昭和に流行した漫画の単行本は全28巻。途中までしかなかったため、地元の古本店を回り、かき集めた。主人公「堀口元気」もフェザー級。聖奈も「元気」になりたくて実際にボクシングがしたくなった。
地元の「シュガーナックルジム」に入会後はボクシングにのめりこんだ。小学校から無敗で中学時は全てKO勝ち。どう猛な「イリエワニ」と恐れられた。食欲も「回転ずしは普通に30皿」「カレーはおかわり2杯は当たり前」と笑顔全開でたいらげた。小学生時に書いた将来の夢は「わたしのゆめは世界一のボクシング選手になること事です。世界一になって心も体も強くなりたいからです」。
5年時の全国大会。12年ロンドン五輪男子バンタム級銅メダルの清水聡が持って来たメダルを見て「オリンピックで金メダルを取る」と公言した。周囲に「そうなんだ~」「なかなか難しいことなんだよ」と笑われたが、8年後の今年4月には鳥取県初の金メダリストの夢を託され、地元に後援会が誕生した。
母も「感謝でいっぱいです。あの漫画に出会ってなかったら…。あの子の人生のきっかけになった本だったのかな」と感慨深げに振り返った。
太陽のように明るい笑顔で地元に元気を与えたいと、「砂丘色のメダル」を目指す。「コロナでみんなが疲れている。自分がメダルを取ることによって喜んでくれる人もいるということを知っているので」と母。初志貫徹したまな娘は誇りだ。(菅原 美沙)