◆第103回全国高校野球選手権大阪大会 ▽準決勝 大阪桐蔭12―10関大北陽=延長14回タイブレーク=(31日・大阪シティ信用金庫スタジアム)
大阪大会決勝は、ともに延長14回タイブレークの死闘を制した興国と大阪桐蔭の対戦に決まった。大阪桐蔭は、9回1死で池田陵真中堅手(3年)が起死回生の同点弾。3時間15分の激闘の末に関大北陽を振り切った。
打った瞬間、右手を突き上げた。6―7の9回1死、大阪桐蔭の池田が左越えに今大会2本目の本塁打を放った。「とにかく負けたくない思いが生んだ本塁打」。西谷浩一監督(51)が「抱きしめるのは早かった」と冗談交じりに称賛した主将の一発で危機を逃れると、タイブレークの延長14回に花田旭右翼手の2点適時打と野間翔一郎左翼手(ともに3年)の3点二塁打で5点を勝ち越した。
松浦慶斗(3年)は登板した8回に一時、勝ち越しを許した。池田の同点弾に「涙が出そうになった。エースが守って、絶対に勝ってやろう!」と、無得点に終わった直後の延長13回裏を無失点で切り抜けた。指揮官も「(延長13回の無得点は)きつかったですね~」と留飲を下げた。
池田は3年前、北大阪大会準決勝で、3―4の9回2死無走者から履正社に逆転勝ちした試合をこの日の会場で観戦していた。先輩の姿に「負けない強さが必要」と、チーム内に植え付けてきた。今年はコロナ禍のため練習試合が減ったこともあり、練習試合後に相手に頼んでタイブレークの訓練をしてきた。「大阪で優勝して日本一になる」と松浦。恐るべき底力を発揮した常勝軍団が、3年ぶりの夏の大阪制覇に王手をかけた。(伊井 亮一)