飲食店も正念場の夏「対策協力で選手を応援」「五輪OKでなぜ酒提供NG?」の声も

「赤羽のオリンピック村」として知られる焼き肉店「香味苑」
「赤羽のオリンピック村」として知られる焼き肉店「香味苑」
焼き肉店「香味苑」のオーナー・張美霞さん
焼き肉店「香味苑」のオーナー・張美霞さん

 東京でおよそ半世紀ぶりに開催されている東京五輪は、新型コロナウイルス感染拡大により緊急事態宣言下での異例の開催となった。宣言発令に伴い、政府や東京都は感染対策の“急所”として飲食店に対して酒類提供自粛や午後8時までの時短営業要請を続けている。

 多くの選手や著名人が通う焼き肉店「香味苑」(東京・北区)オーナーの張美霞(ちょう・みか)さん(48)は「感染防止対策に全面的に協力することが、これまで来店して下さった選手を応援することにつながる」との思いから、五輪開幕の23日から宣言期限の8月22日まで臨時休業することを決断した。

 同店は、トップアスリートの強化施設「味の素ナショナルトレーニングセンター」が近くにあることから、体操の内村航平やバドミントンの桃田賢斗など数々の日本代表選手を常連客に抱え“赤羽のオリンピック村”の愛称で知られている。

 張さんは「営業したい気持ちは山々」と本音を明かしながらも「オリンピックをきっかけに感染が拡大して選手に心ない声が集まる事態は避けたい。やれることは協力したいんです」。営業を再開させた際には「内村選手にはお気に入りと聞いた(チョコレート菓子)ブラックサンダーを使ったデザートを、他にも大会を戦い抜いた選手たちを最高級のお肉でおもてなししたい」と一日も早い感染の終息を願っている。

 大会のメインスタジアム「国立競技場」の目と鼻の先にある老舗ラーメン店「ホープ軒」(渋谷区)は、大会関連の交通規制の影響でタクシー運転手など常連客の客足が遠のいている。同店代表の牛久保英昭さん(82)は「当初想定していたような売上は期待できなくても選手の一生懸命なプレーをみてると、滅私奉公してもいい五輪にしたいと思う」と語る。

 “祝祭ムード”とは裏腹に、度重なる自粛要請に「限界」の声も少なくない。

 渋谷区内でバーを経営する男性店主(27)は「感染終息まで店が持ちこたえられるかどうか、かなりギリギリの状態。大勢が集まる五輪がOKで、酒の提供は1人飲みですらNGは筋が通っていないように感じる」と不満をあらわに。「どうせなら客寄せの材料に使おうと考えた」と23日からは店先に「オリンピック中継見れます」の貼り紙を掲げ、深夜まで営業を行っている。

 繁華街を歩くと、これまでの1~3回目の緊急事態宣言下に比べて要請に応じず酒類提供や深夜営業に踏み切る店も散見される。宣言が来月末まで延長される見通しとなった中、長い自粛を余儀なくされる事業者にとっても、飲食に的を絞った対策の実効性を問われる行政にとっても“正念場の夏”を迎えている。(記者コラム・奥津 友希乃)

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