ウルフ・アロン10年来ライバル「話したいことたくさん」カラオケ十八番はミスチル「イノセントワールド」

ウルフのライバルだった村田大祐さん(中川警察署で撮影)
ウルフのライバルだった村田大祐さん(中川警察署で撮影)

◆東京五輪 柔道男子100キロ級決勝(29日・東京武道館)

 男子100キロ級のウルフ・アロン(25)=了徳寺大職=と女子78キロ級の浜田尚里(しょうり、30)=自衛隊=がともに金メダルに輝いた。男子100キロ級での金メダルは、2000年シドニー五輪の井上康生(現日本男子監督)以来、5大会ぶりで史上8人目の「柔道3冠」。浜田は2008年北京五輪の内柴正人の30歳1か月を超える30歳10か月での日本柔道最年長金メダリストになった。柔道の金メダルは今大会8個(男子5、女子3)となり、過去最多の04年アテネ五輪と並んだ。日本全体では15個に達し、1964年東京とアテネ両五輪の最多16個にあと1と迫った。

 ウルフ・アロンが、柔道への思いに火をつけられたのが、学生時代に汗を流した村田大祐さん(24)だ。村田さんが1学年下だったが、体が大きくセンスは抜群。中1の冬に同じ道場に通うようになり、数え切れないほど組み合った。村田さんは「僕も当時は負けん気が強くて、生意気なガキ。1歳上でも関係なしにやり合っていた。中学までは僕の方が勝っていたので、それで火がついたんだと思います」と回想する。

ウルフ・アロン(前列中央)が5歳の時、七五三を家族で祝った(マネジメント会社提供)
ウルフ・アロン(前列中央)が5歳の時、七五三を家族で祝った(マネジメント会社提供)

 ウルフは「打倒・村田」へ走り込みを始めた。スタミナと強じんな下半身が築かれ、体重もアップ。東海大浦安高、東海大と進路も同じで縁が続く中、ウルフには次第に勝てなくなった。「技術も体格も全部がグレードアップした。最初は認めたくない気持ちもあった。大学は同じ100キロ級で追いつけそうで追いつけない。だんだん差が開いていく感じがあった」と振り返った。

 ライバルだったが、畳を下りれば、不思議なほど気が合った。互いの家を行き来し、練習後に焼き肉食べ放題やカラオケに行った。ウルフは得意にするMr.Childrenの「イノセントワールド」を熱唱した。

 高校時代は先輩にリオ五輪男子90キロ級金メダルのベイカー茉秋(26)がいた。ベイカーの体が日に日に大きくなっていることが気になり「秘密のトレーニングをしてるらしい」と調査。ジムを突き止め、練習後から終電までの2時間、2人で通った。

 先輩後輩だったが、会話はため口。「村田」「アロン」と呼び合った。「嫌っていうほど一緒にいた。ライバル、ケンカし合う友だちみたいな感じでした」。村田さんは大学卒業後、愛知県警に勤務。ここ2年ほどは疎遠になっていたが、五輪前に電話をかけ、初めて「頑張ってください」と伝えた。「おー、お前からそんな言葉が」と話す口調は弾んで聞こえたという。

 今は日本代表として戦う先輩を尊敬している。「僕なんか落ちぶれちゃったんで。よく突っ走ったなと思いますね」。コロナが落ち着いたら、食事に行こうと約束した。「逆に今、話したいことがたくさんある。1日じゃ足りないですね。3日ぐらい、恥ずかしいから酔っ払いながら」。かつてのライバルは祝福の言葉を伝え、思い出話に花を咲かせる日を心待ちにした。(林 直史)

ウルフのライバルだった村田大祐さん(中川警察署で撮影)
ウルフ・アロン(前列中央)が5歳の時、七五三を家族で祝った(マネジメント会社提供)
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