【五輪記者だより】真夏の祭典はやはり酷…屋外会場は熱したフライパン(8月9日)

スポーツ報知
閉会式ではフィナーレで花火が打ち上がった(カメラ・竜田 卓)

 スポーツ報知の五輪担当記者が東京オリンピック大会期間中、取材でのこぼれ話を日替わりでお届け。

8月9日

 閉会式の行われた国立競技場に、始まる1時間半ほど前についた。周辺の沿道は完全に密と化しており、心配になる。ちなみに国立のスタンドには空調がない。自然の風をとりこみ、空気の流れをつくるので涼しい…はずだったような気がするが、そこは完全に蒸し風呂だった。

 五輪とともに夏が終わるようなセンチメンタルな気分になりかけていたが、全くの錯覚に過ぎなかった。夏の全盛期はここからもう少し続くのだ。

 どの会場もきれいで素晴らしかったけど、屋外の会場は蒸し風呂というより熱したフライパンのようだった。照り返しで目も開けていられないほどの日もあった。真夏の祭典というと字面はいいけど、やっぱり季節は考え直した方がいいのでは…。

(太田 倫)

=おわり=

8月8日

 8月1日の夜、有明体操競技場のメディアルームが大いに盛り上がった。種目別決勝の取材も全て終わり、作業していた全員がテレビ画面に集中した。

 映し出されていたのは、陸上男子100メートル決勝。ヤコブス(イタリア)が9秒80で初優勝すると、拍手する人、驚きの声を上げる人、ハイタッチする人が続出した。欧州メディアが多かったような気もするが大歓声が上がり、まるで“スポーツバー”にいるかのようだった。

 やっぱり陸上100メートルは五輪の花形競技であると実感した。

(小林 玲花)

8月7日

 普段使わない頭をフル回転させると、定期的にショートする。予選と決勝の空き時間。脳の中が「無」になることがある。何か刺激を与えなければと、普段は聴くことのない音楽を聴く。曲を選ぶのも面倒になり、同じ曲を大音量で流す。

 リオデジャネイロ五輪ではゆずの「栄光の架橋」とサザンオールスターズの「栄光の男」。ちなみに「栄光」かぶりに全く意味はない。平昌五輪では「ラ・ラ・ランド」と「陰陽師」のサウンドトラックだった。

 レスリングの金メダルマッチを前にした4日、午後。今大会3度目くらいのピンチがやってきた。選んだ曲はLiSAの「炎」。声が聞こえたような気がした。「心を燃やせ!」。煉獄さんが助けてくれた。

(高木 恵)

8月6日

 大会も終盤戦にさしかかり、海外メディアもお土産の算段をする頃のようだ。メインプレスセンターには、タンブラーなどの大会公式グッズが買える自動販売機が設置され、日本の技術力の高さをアピールしている。

 陸上競技会場では、米国人記者がウイスキーの写真を指さして「これ、コンビニで売ってるかな?」と尋ねてくる一幕が。日本のコンビニは確かに品ぞろえ豊富だが、空港には免税店があるのでは…。せっかくなので、日本限定のスコッチウイスキー「シーバスリーガル・ミズナラ」をおすすめしておいた。

(細野 友司)

8月5日

 担当する卓球で混合ダブルスの水谷隼、伊藤美誠組が金メダルを獲得し、盛り上がりを見せた。さまざまなメディアが快挙を報じる中で気になっていたことがあった。ペアの愛称だ。

 初めて組むことが決まった19年7月1日付の本紙で「みまじゅん初コンビ」と記事を書いた。語感の良さを考えて命名。売り出そうと書き続けたが定着せず、優勢だったのは「じゅんみま」だった。だが、今大会で潮目が変わり、「みまじゅん」表記を頻繁に目にするようになった。勝手に名付け親と思い、ささやかな喜びを感じている。

(林 直史)

8月4日

 コロナ禍で取材環境も特別な五輪。野球の場合、会見に監督と選手数人が参加するが、海外メディアがいて通訳も入るため、形式ばった雰囲気や発言になりがち。距離をとった上で対面形式で行われるミックスゾーンの方が、ざっくばらんな話が聞けるケースが多い。

 “空気”を察知してか、大会中に稲葉監督から番記者に対し、人数を制限して距離をとった上での囲み取材をしようと打診があった。「会見より、その方がいろんなこと聞けるでしょ?」

 野球の競技人口減少に危機感を覚える指揮官は、五輪を機に多くの人々に興味を持ってほしいと願う。勝敗だけを考えれば情報発信は少ない方が有利だが、大局的な見地に立って五輪に臨んでいる。

(宮脇 央介)

8月3日

 水泳担当のため、東京アクアティクスセンターにいる時間が長い。ここでの主食は、基本的に無料で提供されるバナナとピーナツサンドになる。

 一応、売店では1000円の弁当(冷たい惣菜と、なぜかご飯の代わりにパンが3つついてくる)や800円ほどの冷凍パスタなどが取りそろえてあるが、なかなか触手が伸びづらい。カップヌードルも400円という五輪価格。懐には決して優しくない。

 ピーナツサンドは競争率が高く、すぐに“売り切れ”となるため、見つけたら即ゲットが鉄則。バナナは常に生きのいいものが提供されており、たいへんありがたい。とはいえ、もう鮮やかな黄色にも少々飽きた。汗だくになりながらラーメンでも食べたいという欲求が日増しに強くなっている。

(太田 倫)

8月2日

 7月26日、ソフトボール1次リーグで、決勝の“前哨戦”と位置づけられた日本・米国の取材に行った。試合後のミックスゾーンで、後藤希友(みう)に話を聞こうと待っていた。コロナ対策で今回の取材はどの会場でも選手と報道陣の距離が約2メートルほど空いており、声が聞き取りにくいこともある。念のため、選手の近くにレコーダーを置いてもらおうとスタッフを呼んだが、聞こえなかったのか来てもらえず。

 どうしようか困っていたときに「どうぞ!」とレコーダーを置く専用トレーを手に取り、私の目の前まで差し出してくれたのが後藤だった。“神救援”で金メダルに貢献した20歳の心優しい“記者救援”に触れることができた。

(小林 玲花)

8月1日

 無観客の今大会。がらんとした客席を彩るように、各会場にはアサガオの鉢植えがたくさん飾られていて、選手の熱闘を見守っている。鉢には地元の小学生たちによる手書きのメッセージボードが添えられている。

 選手に寄り添うような温かい言葉の数々が、なかなかにグッとくるのだ。「ピンチの時こそ楽しんで」「ガンバレ、力を出して」「七転八起。つねに全力で頑張ろう」。

 もちろん、選手に向けた思いなのは分かっているが、五輪も中盤戦で連日の疲労もたまる中、私の心もだいぶ励まされた。ありがとうございます。

(細野 友司)

7月31日

 福島の開幕戦を見ながら、少しだけ巨人の未来を案じた。日本を苦しめたドミニカ共和国先発のメルセデス。味方の攻撃中、延々とキャッチボールをしていたのだ。1死から(普通は2死から)、しかも炎天下の屋外ブルペンで。

 降板まで、ほぼ休みなく投げ続けていることになる。消耗しないわけがない。レギュラーシーズンでよく6、7回で突然つかまるのはコレのせいじゃないだろうか…。6回まで1安打だったメルセ、7回に連打を浴びて降板。ほら…。

 アレ、やめた方がいいんじゃ? 余計なお世話で本紙巨人担当に聞くと、メルセにとっては安心の源で、やめたらストレスになるとか。野球は奥が深い。やめてみたら完投できたり…しないですかね。

(宮脇 央介)

◆7月30日

 開幕当初はドタバタ感のあった今大会だが、日を追うごとに改善されている印象だ。例えばコロナ対策。ある会場では入り口で検温と消毒を行った30メートル先の受付で、再び検温を求められることが続いた。万全を期すべきだが「その30メートルで体調が変わるのか?」と思うこともあった。

 動線も複雑でスタッフ間で情報共有がうまくいっていないのか、何度も間違って案内をされたことがあったが、ここ数日は洗練されている印象。大会中の忙しい中でも、改善しようと汗を流すボランティアスタッフの方々にも感謝したい。

(林 直史)

◆7月29日

 大会が始まり、他社の記者たちと連日交わす“あいさつ”がある。「全然、コンパクトじゃないよ!」。五輪は2、3競技のはしご取材が基本。欧米時刻に合わせた競技スケジュールはアスリートファーストとは言い難く、同じくメディア泣かせ。疲労もたまる。

 26日、バスケットボール男子の日本対スペインは、さいたまスーパーアリーナだった。原稿を書き上げ、有明のメインプレスセンター行きのバスに飛び乗ったのは25時40分。翌27日、ソフトボール決勝は横浜スタジアム。金メダルを獲得した日本代表の会見が始まったのは24時50分。壇上の上野由岐子が眠そうに目をこすっていた。

(高木 恵)

 ◆7月27日

 早朝から深夜まで、取材の足を確保してくれるのがメディアバス。前回リオ大会では路線バスの車体が使用されていたが、今大会は日本各地から集結した大型観光バスによって運行されている。乗り心地も良いし、車体もカラフルで、MTM(バス乗り場)は実に華やかな雰囲気だ。

 ナンバープレートで見てみると、大会序盤で既に30都道府県のバスを目撃した。北は北海道、南は鹿児島(沖縄はまだ見ていない)まで。残り17県のバスとも閉幕までに出会えるだろうか。全国のサポートに感謝しながら、取材に励みたい。

(細野 友司)

 ◆7月26日

 カヌースラロームセンターでハネタクの男泣きを見届けてからタクシーに乗り込んだ。今大会波乱続きの競泳の予選を見るためだ。 「羽根田さんどうでしたか?」と運転手さん。「残念ながら10位でした…」と返すと、本当に悔しそうだった。

 競泳陣の不振の話題になった。でも、と続けた運転手さんの言葉が真理を突いていた。「命がけで練習してきたのは日本人だけじゃないんだもんねえ」。全くその通り。スラムダンクの木暮君ではないが、みんな1年間頑張ってきたのだ。その成果をみんなで見られないことを、今さらながら残念に思う。

(太田 倫)

 ◆7月25日

 有明体操競技場が凍えるほど寒い。19年トランポリン世界選手権、新体操のテスト大会で来た際には感じなかったほど会場がキンキンに冷えている。長袖にマウンテンパーカを着たが、2時間30分もの間、演技を見ていると指先がひんやり。日本選手からも「寒い」との声が上がるほどだが、会場スタッフに聞いても誰も設定温度が分からないという不思議。今回は無観客開催となったが、有観客だったら、事前にぜひお知らせしておきたかった。

 「記録的に暑い大会」とも言われる五輪だが、有明体操競技場内は万全の「寒さ対策」で最終日まで乗り切りたい。

(小林 玲花)

 ◆7月24日

 23日の開会式。ドラクエやFFなど人気ゲームの演奏に合わせて入場行進が進む中、懐かしいBGMが耳に飛び込んできた。95年に発売された名作RPG「クロノ・トリガー」。個人的な話だが、小学生時代、睡眠時間を削って何十回とクリアしたマイベストゲーム。まさか五輪で聞けるとは思わず、気持ちが高ぶった。

 同時にマリオ、ゼルダ、ポケモンなど世界的に人気のある任天堂から選曲がなかったことは疑問だった。海外のアスリートにとっても、少しでも気持ちが上がる瞬間になったかもしれないのに、と。

(林 直史)

 ◆7月23日

 開会式が始まるまで正直、五輪の実感はなかった。当たり前だが、いつもの五輪とは違う。開幕前の1週間は本番会場で練習をする選手の取材で忙しい…はずなのだが、練習見学はもちろん、声を聞く機会は少なかった。選手たちの最終調整が無事に進んでいることを願う。

 無観客で行われた開会式の間、国立競技場の記者席まで反対グループの「五輪やめろ」の声は聞こえてきた。午後8時の開演と共に一度はかき消されたが、プログラムの合間の静寂の度に耳に届いた。

(高木 恵)

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請