五十嵐カノア「一生忘れられない日」悪条件の波に挑み銀メダル 悔しさ3年後タヒチの海へ

スポーツ報知
男子サーフィン準決勝、逆転のエアーで決勝に進んだ五十嵐カノア(カメラ・矢口 亨)

◆東京五輪 サーフィン ▽男子決勝(27日・釣ヶ崎海岸サーフィンビーチ)

 男子の五十嵐カノア(23)=木下グループ=が銀メダル、女子の都筑有夢路(あむろ、20)が銅メダルを獲得した。台風接近の影響で難しい波だったが、ともに世界のトップ選手が集まるチャンピオンシップ・ツアー(CT)に参戦する実力者らしい力を発揮。日本勢の新競技・種目でのメダルラッシュの波に乗った。

 五十嵐は最後の最後まで諦めず悪条件の波に挑み続けた。勝利を確信したフェヘイラが試合時間1分30秒ほど残して浜辺に戻った後も、何とか得点を出そうともがいた。高得点が狙えるほどの波は来ずタイムアップ。海に向かって正座して頭を下げ、海の神様へ感謝し「ここまでよくやったね」と自分をねぎらった。表彰台では首にかけたメダルを5秒ほど見つめ「一生忘れられない日」とかみ締めた。

 生まれ育った米国で強化選手に指定されながらも、大きな夢と使命を胸に、東京五輪で日本代表として戦うことを決めた。夢は「世界で一番うまいサーファーじゃなくて、すごいアスリートになる」こと。金メダルは「スポーツ選手では一番の頂点。(陸上短距離のウサイン・)ボルトや(女子テニスの)セリーナ(ウィリアムズ)も取っている」と絶対手にしたかった。個人の目標だけではない。「日本のために一つ金メダルを取る。バスケや野球のファンにも、日本のために勝った、というのを見せたい」。日本におけるサーフィンの知名度、地位向上のためにも欲しかった。

 準々決勝では巻いた波のトンネル「チューブ」をくぐる大技を披露した。準決勝は波に正対するフロントサイドで勢いよく空中に飛び出し、横1回転にグラブ(板をつかむ技)を入れ、着水もバッチリ。高得点を確信して両手を上げ「世界が見ていて面白いと言ってもらいたいと思った」という通り、9・33をマーク。今季トッププロが集うチャンピオンシップ・ツアー(CT)で1位につけるガブリエウ・メジナ(ブラジル)を破った。

 競技のため、日本のために自ら背負ったプレッシャーも力に変えた。「サーフィンのrevolution(革命)を起こすことができた」。それでも、チャンスをつかみ切れなかった悔しさもある。「明日からトレーニングに行って、パリ(五輪)の準備をする」。3年後、タヒチで開催される五輪まで、日本サーフィン界をリードし続ける。(大和田 佳世)

 ◆五十嵐カノア(いがらし・かのあ)

 ▼出身 1997年10月1日、父・勉さん、母・美佐子さんが移住した米カリフォルニア州で生まれる。23歳。4歳年下の弟・キアヌもプロサーファー。

 ▼サイズ 身長180センチ。体重は普段79~80キロだが「日本の波に合わせて」と今回77キロに。

 ▼競技歴 父の影響で3歳から始める。2009年に米アマチュア連盟の大会で史上最多年間30勝を挙げ、11歳頃から世界中を転戦。全米アマ王者になった12歳で年間7割は転戦生活を送る。16年に史上最年少、アジア人初のCT参戦。

 ▼語学堪能 家庭内では日本語だが、英語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語が話せる。「勉強しようというより、友達が多いので自然と話し始めちゃった」。ポルトガルにも家がある。

 ▼ルーチン 大会に持ち込む板は12本。今回は通常のCTと同じ板の本数、服、バッグを使用し「いつも通り」を意識。

 ▼交流 同じカリフォルニアに拠点を置くスケートボード・ストリートの堀米雄斗と開幕式で記念撮影し、「一緒に金メダルを取ろう」と約束。

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