【森永卓郎の本音】東京一極集中は止まらないのか

森永卓郎氏
森永卓郎氏

 コロナ感染が深刻な東京都から住民が逃げ出し始めている。そう報じられてきたし、私もそう思ってきた。住民基本台帳の人口移動統計で、昨年5月から8か月連続で東京都が転出超過になっていたからだ。

 ところが、昨年1年間のデータでみると、東京都は3万1125人の転入超過になっている。東京都の場合、新規就職者や就学者が集中する年明けから年度末にかけての転入が多いからだ。それでは、コロナ禍でも人口が減らなかった東京都は、このまま人口を増やし続けていくのだろうか。私は、中長期的には東京一極集中が終わると考えている。

 理由の1つ目は、東京都の転入超過が激減していることだ。一昨年の転入超過は8万2982人だったから、昨年は62%も転入超過が減っているのだ。

 2つ目は、昨年、周辺3県に対して2万2844人の転出超過となったことだ。つまり、東京から埼玉、千葉、神奈川へは人口が流出しているのだが、それを埋めて余るほど、地方から東京に人が集まっているのだ。雇用機会に乏しい地方出身者は、東京で就職せざるを得ないのだ。

 しかし、そうした状況も少しずつ変わっていくだろう。リモートワークの普及で、本社を東京以外に移す会社が増えているからだ。リモートで仕事ができるのなら、わざわざ家賃の高い東京にオフィスを置く必要はないからだ。

 実際、三鬼商事によると、コロナ前には1%台だった東京都心のオフィスの空室率は、16か月連続で上昇して、6月には6・2%に達している。変化は確実に起きているのだ。政治も文化も経済も、すべてが東京中心という世界に類を見ない都市構造が、ようやく変化の兆しを見せ始めているのだ。(経済アナリスト)

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