重量挙げ記録なしで引退の三宅宏実は感謝の人

スポーツ報知
女子49㌔級 ジャーク3回目の試技を失敗し、悔しそうに競技を終えた三宅宏実(カメラ・竜田 卓)

◆東京五輪 重量挙げ女子49キロ級(24日、東京国際フォーラム)

 重量挙げ女子49キロ級で、16年リオ五輪銅メダルの三宅宏実(いちご)はスナッチ74キロ、ジャークは3度失敗で記録なしに終わり、21年の現役生活を締めくくった。

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 三宅は、感謝の人である。我が家の飾り棚には、世界各地の地名が入った小さなコーヒーカップが並ぶ。三宅が遠征のお土産に、とプレゼントしてくれたものだ。「空港での取材、ありがとうございます!」と言って。今年4月に次男を授かった時には、出産祝いが届いて驚いた。思えば、リオ五輪の時もそう。公開練習に参加したメディア1人ずつに、手紙を添えたコーヒーのギフトを配っていた。周囲に、当たり前のように感謝を形にできる。だからきっと、21年間、5大会連続の五輪の舞台へ立てたのだろう。

 感謝を伝えられることの裏返しでもあるが、三宅は謙虚な人である。2度の五輪メダルを手にし、屈指のリフターになっても「私はまだ下手」「ウェートリフティングをもっと知りたい」と探究心が尽きなかった。力で持ち上げるような見た目の競技ではあるが、瞬発性や技術も求められる繊細な部分もある。逆に言えば、三宅のように競技と向き合って突き詰めていければ、年齢に関係なく輝ける。この事実を体一つで証明したことは、日本ウェートリフティング界にとって大きな財産だと言えるのではないか。

 探求心は、引退した後も続きそうだ。セカンドキャリアの夢を尋ねると「何を学ぶかは五輪の後に決めるとして、情熱を注げるものに出会えればと思いますね」と語ってくれた。まずは「結婚して子どもも欲しいですし」とも。子育てが落ち着いたら、指導者か、はたまた世界を飛び回ってスポーツ界全体に尽くすような立場か―。けがに苦しみ、乗り越え、結果を出し、後進に背中で示した。この素晴らしいキャリアを歩んだ三宅なら、どんなフィールドでもきっと輝くだろう。(記者コラム・細野 友司)

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