有観客の宮城スタジアムでの「復興五輪」と「おもてなし」 ゴール裏に復興支援の感謝伝える横断幕

スポーツ報知
宮城スタジアムのゴール裏に掲げられた横断幕(角田さん提供)

 実質唯一の有観客会場となったキューアンドエースタジアムみやぎ(宮城スタジアム)。21日、女子サッカーの会場として「ブラジル―中国」「オランダ―ザンビア」の2試合が行われた。

 スタンドには、世界各国から寄せられた東日本大震災への支援に対する感謝を記したメッセージ段幕が掲げられた。

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 発起人は、サッカー日本代表の名物サポーターで、ちょんまげ姿でお馴染みの角田寛和さん(58)。自宅のある千葉県から、自家用車で午前3時に宮城県入りした。

 用意した横断幕は、12言語分合計14枚。「支援に感謝申し上げます。日本は希望と共に前に進んでいます」―。この日試合を行った4チームの公用語(ポルトガル語、中国語、オランダ語、英語)の横断幕をゴール裏に掲げた。

 「観客もまばらだし、日本では生中継されていませんが、それぞれの国では放送されていると思います。映像を見ている人たちに、東北は五輪が開催できるまでになったんだよ、と伝わればと思います」

 宮城では24日、27日、28日にも男女サッカーの1次リーグ2試合ずつが行われ、27日にはなでしこジャパンがチリと対戦。決勝トーナメントでも女子の準々決勝1試合が30日、男子の準々決勝1試合が31日に開催される。角田さんは全日程に参戦予定。「暑さもあり、運ぶのも(幕を)張るのも本当に大変で…。協力してくれる仲間、募集しています(笑い)」と光る汗を拭う。

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 角田さんは、08年北京五輪以降、全大会で現地を訪れている。「こんなに活気のない五輪は初めてです」と苦笑いを浮かべるが、「(これまでで)1番素敵だった。完璧だった」と振り返ったのが、宮城スタジアムを担当するボランティアスタッフの対応だった。

 5万人収容のスタジアムだが、人数制限もあって集まった観客は1000人程度。当初想定されていた訪日外国人は1人もいない。

 それでも誘導スタッフの動きは「何度もシミュレーションしたんだな」と感じるほど手際が良かった。感染予防対策の徹底を積極的にうながす一方、親切心や笑顔を絶やさず、おもてなしの心で観客と接する。角田さんの誘導を担当したスタッフは「ようやくです。楽しみにしていました。(有観客で)やるからには、感染者を出さないこと、ですね」と話していたという。

 試合でも胸を打たれる場面があった。観客の拍手だった。声を出しての応援が禁止される中、4か国の選手に対して温かい拍手が飛び交った。「みんな、ワンプレーワンプレーに拍手をしていた。シュートが決まった時だけでなく、選手が交代する時も。本当に温かい雰囲気がありました」

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 五輪招致の原点でもあったはずの「復興五輪」。招致活動の中で大きな話題となった「おもてなし」。残念ながら、コロナ禍でそれどころではなくなってしまっている現状がある。宮城スタジアムから発せられる「復興五輪」のメッセージと「おもてなし」の精神が、1人でも多くの人に伝わればと思う。(記者コラム・岡島 智哉)

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