東京五輪は最後まで競技が続行できるのか 南ア選手感染で感じたこと

サッカー男子南アフリカ代表
サッカー男子南アフリカ代表

 東京五輪で危惧していたことが、現実になりかけている。サッカー男子の南アフリカ代表の選手3人が新型コロナウイルス検査で陽性になり、濃厚接触者が18人出たことだ。今大会でのルールでは試合開始前6時間以内のPCR検査で陰性になれば、出場できる。だが、陰性にならなければ、試合を戦わずして敗北になってしまう。

 私は昨年12月に行われた高校バスケットボールのウインターカップを思い出した。日本バスケットボール協会の三屋裕子会長が、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの大会が中止・延期となり、多くの選手や関係者が悔しさ、寂しさを感じたことから何とか開きたい、とウインターカップの開催を決断した。

 だが、大会直前と期間中に合わせて7校が新型コロナウイルス感染症や、その感染リスク回避のために、辞退を余儀なくされた。同会長は大会中に「私自身スポーツに身を捧げてきた高校時代を思い出すと、本当に胸が締め付けられる想いです。私どもからの辞退勧告を受け入れて辞退を決断してくださり、また私どもからの棄権指示にご対応いただきました高校関係者の皆様におかれましては、本当に辛く、悩み抜いた決断だったと思いますが、感染拡大予防へのご理解をいただきましたこと、改めて感謝申し上げたいと思います」とのコメントを発表した。

 大会はそのまま何とか男女の決勝まで行われた。私がいたたまれなくなったのは、勝ち上がったチームが2日前に対戦したチーム関係者から陽性者が出たために棄権せざるを得なくなったことだ。勝ったのに、次のステージへ進めない、理不尽なことだと感じたし、選手たちの気持ちは想像するだけでも苦しい。それに、次から次へ辞退するチームが出て「そこまでボロボロになってまでやらないといけないのか」とも思った。

 そして、今の東京五輪の状況だ。「安全、安心な大会」と何度も聞かされ、感染者も大会が始まるまでは出ないのではないかと思い込んでいたが、開会式を待たずに、こんなに出てくるのかという数だ。米国のバスケットボール女子代表選手は、2度のワクチンを打っていながら感染し、出場を断念した。現在の南アのサッカー代表選手たちの胸中はいかばかりか。

 チーム競技の場合、1人でも感染者が出ると、ほとんどが濃厚接触者になるのは避けられない。ウインターカップのように、対戦チームにも影響を及ぼす可能性もある。競技を進めるに従って、いつの間にか、チームが残っていなかった、ということはにはならないのだろうか。途中で「この競技は中止になりました」ということが起きないと言えるのだろうか。

 チーム競技でなくても、格闘技なども“連鎖”していく可能性は少なくない。出場できなくなった時の選手の心のケアはどうするのか。そこまで国際オリンピック委員会は、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、考えているのだろうか。杞憂に終われば、と祈るばかりだ。(久浦 真一)

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