◆第103回全国高校野球選手権高知大会 ▽1回戦 岡豊3―2土佐塾(20日・春野)
土佐塾(高知)の寺田啓悟投手(3年)が左右両投げで登板した。1回戦で敗れたが、打者2人に左で投げるなど、5回2失点と奮闘した。福島では、昨年の中止を挟んで史上最多タイの14大会連続出場を目指した聖光学院が、準々決勝で敗退した。
“四刀流球児”の夏が終わった。両投両打の土佐塾・寺田は投手として5回6安打2失点(自責1)と粘投し、打撃でも1安打を放ったが、1点差に泣いた。
最速138キロの右投げで2回2死まで無安打。「自分の左に対して相手打者のタイミングを確認するため」に最速128キロの左投げにスイッチした。だが、四球と安打でピンチを招くと「制球が定まりづらかったのでチームに迷惑がかかるのを避けるため」と右に戻して三振に斬った。
「球自体は悪くなかったが、炎天下の中での練習がほとんどできていなかった」と気温30度を超える暑さに苦戦し、3、4回に1失点。6回からは遊撃手に回った(もちろん右投げ)。
相手投手が右腕だったため、右打席に立つことはなかったが、4番として、7回に中前安打を放った。
文字を書くのも、箸を持つのも右手だが、野球を始めた小2からすでに両投両打だった。「レベルの高いところでは人とは違うことをしないといけない。両投両打でプロになる」と夢を追って、投打スイッチに強いこだわりを持ってきた。「高校野球という人生の中でも大事な期間で両投両打でやらせてもらえたのは大きなこと」と、自身のスタイルを認めてくれたチームに感謝した。
“二刀流”のエンゼルス・大谷に「160キロを出して、ホームランも打ちまくる。考えられない」と憧れる“四刀流”。大学で4本の刀をさらに磨き、超異色選手としてのプロ入りを目指す。(南 樹広)