過去の雑誌インタビューで障害がある同級生らに対するいじめを告白していたことが明らかになった東京五輪・パラリンピックの開閉会式の楽曲を担当するミュージシャン・小山田圭吾の騒動を巡って、雑誌「Quick Japan」の出版元である太田出版が19日、公式サイトに謝罪文を掲載した。小山田は同日、自身のツイッターで辞任の意向を示していた。
太田出版は、「『Quick Japan 第3号』掲載の小山田圭吾氏記事についてのお詫び」と題し、1995年に掲載された小山田へのインタビュー記事について、「表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを深くお詫びします」と謝罪した。
▼以下、謝罪全文
1995年刊『Quick Japan 第3号』は「いじめ紀行」というシリーズの第一弾として小山田圭吾氏へのインタビューをもとにした記事を掲載しました。この記事が、表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを深くお詫びします。
「いじめ紀行」は、取材者自身がいじめられた体験があることから、いじめられた側だけでなくいじめた側からも話をきくという趣旨で「いじめた側といじめられた側の対談」として当初発案されたものでした。この第一回で小山田圭吾氏は自身の体験として障がいを持つ方へのいじめを告白しています。
現在、この小山田圭吾氏の一連のいじめ体験についての告白が大きな批判を受けています。当時のスタッフに事実・経緯確認を行い、記事を再検討した結果、この記事が被害者の方を傷つけるだけでなく差別を助長する不適切なものであることは間違いないと判断しました。この検討は出版後26年を経てのものであり、この間、2012年にはいくつかの号が復刊される機会があり、この第3号も100部の復刊を行っています。最初の出版段階での判断のみならず、その後再検討のないまま時が過ぎたことも、出版社としてその姿勢が問われるものであると考えます。
今回の反省は、継続的に今後の出版活動を顧みる機会とするべきと考えます。『Quick Japan』のみならず、弊社の出版活動全体を改めて再検討し、その都度振り返ることにより同じことを繰り返すことがないように努力してまいります。
2021年7月19日
太田出版社長・岡聡