【広島】一流企業からの転職 侍ジャパン栗林良吏が背負う覚悟

広島・栗林良吏
広島・栗林良吏

 初めまして。今年入社したばかりで、当コラムも初めて書きます。と言っても、あまり初々しさのない30代半ば。「転職組」です。

 転職サイトのCMや広告が目立つ最近では、珍しくないかもしれない。それでも環境を変えることは不安。それなりの覚悟も必要だった。そんな経験を経てプロ野球に接し、以前よりも気になることがある。社会人野球出身の選手だ。高校・大学からのプロ入りが「新卒」なら、彼らは「転職組」。そんな話題を、大活躍中の広島のドラフト1位・栗林良吏投手に投げかけてみた。トヨタ自動車から入団。答えは思った通りだった。

 「トヨタの方がいいんじゃないか、と言う人はたくさんいました」。プロ入りを勧めない声はあったという。超一流企業の社員。引退後も安定した生活が見込まれ、社業で活躍して出世するケースも多い。エリートサラリーマンのキャリアを捨て、結果次第で数年で解雇を告げられる世界を選んだことは自覚していた。

 栗林は「逆に会社の人をみて、プロしかないと思いました。頭が良くて優秀な人ばかり。僕は社業をこなせる自信がなくて」と迷わなかった。一方で同僚には、実力があってもプロの選択肢を捨てた選手が少なくない。「半分くらい、そうだったのでは」。少年時代からの夢と将来をてんびんにかけた決断。決して、間違ったことではない。

 そのトヨタ自動車。ヤクルトの名捕手・古田敦也氏をはじめ、中日の元エース吉見一起氏、現役でも日本ハム・金子ら多くの一流を輩出してきた。ビッグネームだけでなく、「成功率」にも注目すべき。西武・源田、ロッテの荻野と藤岡、中日の祖父江と木下拓、オリックス・富山。今季もOB全員が1軍を主戦場にしている。偶然ではないだろう。「失う物」が重い分、自信と覚悟がなければ、プロに進まない。入団後も相応の危機感とともに歩んでいることは想像できる。

 他の社会人野球の名門で監督を務めた人からも聞いた。プロ入りする選手には「日本野球機構に就職するんだよ」と伝える。「1日でも長くやって欲しいとも言います。うちも悪い会社ではない。そこから送り出す限り、暮らしが安定して欲しいと願うので」。もちろん高卒・大卒にも「プロに入らなければ…」という人生はある。ただ、実際に地位を手にした社会人にとっては、より現実的な話だ。

 筆者の場合、よほどのことがない限り「数年でクビ」はないと信じたいが…。果敢に新天地に挑んだ選手たちの姿も励みに、頑張ります。(プロ野球遊軍・安藤 理)

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