原ゆたかさん「ゾロリ」シリーズ累計3500万部 人気の秘密は"子供目線"まじめにふまじめプロの小学生

ゾロリにちなみ“キツネポーズ”をする原ゆたかさん
ゾロリにちなみ“キツネポーズ”をする原ゆたかさん
「かいけつゾロリのゾワゾワゾクゾク ようかいまつり」
「かいけつゾロリのゾワゾワゾクゾク ようかいまつり」

 幼児から小学生を中心に大人気の児童書「かいけつゾロリ」シリーズの最新作「かいけつゾロリのゾワゾワゾクゾク ようかいまつり」(ポプラ社、1100円)が9日、発売された。作者の原ゆたかさんは「ページをめくる楽しさを知ってほしい」との願いをシリーズに込め、これまで69作を出版。“プロの小学生”を公言する原さんだからこそ生み出せるキャラクターや物語の魅力、そして子供たちへの思いを聞いた。(奥津 友希乃)

 いたずらの王者を目指すキツネの主人公「ゾロリ」が、子分で双子の「イシシ」「ノシシ」と共に大冒険を繰り広げる同シリーズ。1987年に第1作を出版して以来、年2冊を出し続け、累計発行部数は3500万部を超える。

 ゾロリは、原さんが絵を担当していた「ほうれんそうマン」シリーズ(作・みづしま志穂)の悪役だった。

 「悪役が主役の本って学校の図書室にはなかなかない。でも『悪いことをするとうまくいかないよね』という逆説的な話にしたら、『悪いことはやめよう』と思う物語になるかなと思って書き始めました」

 冒険の中でゾロリは大胆で奇想天外な“いたずら”を仕掛けては失敗ばかり。それでもくじけず、へこたれずに旅を続けている。

 「ゾロリの夢は、お嫁さんを見つけて自分のお城を建てること。毎回失敗したり失恋したりして終わるのですが、周りの人を幸せにして、自分は次に向かって進むために消えていくんです。人生って大変なことがたくさんあって、小学生にもいろいろ嫌なことはあるはず。ゾロリの姿を見て『自分も頑張ってみよう』と思ってくれたらうれしいよね」

 必殺技はおなら、得意のおやじギャグは時に炎をも凍らせる―。敵を目の前にした時に、一般的な漫画やアニメの戦闘シーンとは一線を画したユニークな解決策が“ゾロリワールド”の魅力の一つだ。

 「悪者がいても戦わずに、共存する手立てはないのかということを考えています。機関銃で撃つのではなく、おならで気絶させるだけとかね。大人からすると『おならが出てくる下品なもの』と言われてしまう。でも、武器を持って戦うよりも、ずっと平和的な解決策だと思うんです。最初の頃は学校の先生やPTAの方に好まれず、図書室に置いてもらえないこともあったのですが、子供たちが夢中になって読んでくれたことで、大人の方にもだんだん良さを分かってもらえるようになってきました」

 原さんの子供時代の経験から、“本を読む楽しさ”や“読み切る達成感”を知ってほしいとの思いが同シリーズの出発点でもある。

 「小さい頃は本が好きだったんですが、大人から薦められて一生懸命読んだ本が面白くなくて、疎遠になった時期がありました。本好きと本嫌いの両方の体験をしてどちらの気持ちも分かるので、本が嫌いな子が面白さを感じてくれる本を作ろうと思って『かいけつゾロリ』を書き始めました」

 最新作もページをめくる度にワクワクする細かなイラストや、過去作から続く伏線など仕掛けが満載だ。読者の心をつかんで離さない作品を生み出し続ける鍵は“子供と同じ目線でいること”だ。

 「私はお酒も飲まないし小学生の時と生活がそんなに変わりません。本の中で、大人が言いがちな、お説教くさいことは言いたくないんです。純粋に自分が小学生の時に読みたかったような、面白くて幸せな話を描いてあげたいと思っています」

 子供の頃から好きだった絵を描くことを続け、国民的児童書の生みの親となった原さんは、いま子供たちに伝えたいことがある。

 「子供たちに言いたいのは、好きなことを早く見つけてほしいということ。大人になったら何か仕事をすることになる。どんな仕事にもつらいことはあるけれど、好きなことなら乗り越えられると思うからです。興味を持ったことがあったら、突き詰めていくと何でも奥が深くて面白くなるはず。大人になるまでに夢中になれることを見つけて、幸せになってほしいんです」

 昭和から令和の子供たちに読み継がれる同シリーズは来年、発刊から35周年を迎える。ゾロリたちの冒険、そして原さんの挑戦は続く。

 「長くやってきたからこそできることがあると思っています。過去の作品のキャラクターとゾロリをもう一度会わせた時に、ゾロリがどう成長しているのかを描く『裏ゾロリ』的な作品もいくつか考えています。ずっと読んでくれている子が、ゾロリってこういうことするよねってすり込みがある中で、その考えを裏切るような展開を期待していてほしいな!」

 ◆同書のあらすじ 「ハロウィーンを、もっとようかいが活躍するお祭りにしたい!」。そんな“ようかい学校の先生”の夢をかなえるために、ゾロリたちが考えた計画とは? ようかい学校の先生を利用しようとする怪しい影の正体とは…?

 ◆原 ゆたか(はら・ゆたか)1953年、熊本県生まれ。74年、KFSコンテスト・講談社児童図書部門賞受賞。主な作品は「プカプカチョコレー島」シリーズ、妻の児童書作家・原京子さんとの共著「イシシとノシシのスッポコペッポコへんてこ話」シリーズ、「にんじゃざむらいガムチョコバナナ」シリーズなど。「かいけつゾロリ」には、自らもキャラクターとして登場している。

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