◆第103回全国高校野球選手権静岡大会▽2回戦 三島南10-4掛川工(17日、愛鷹)
2回戦16試合が行われ、初戦を迎えたシード4校は順当に勝ち上がった。
ささやきが心を解かした。同点の7回2死一塁、1ボール2ストライクと追い込まれると、三島南の1番・前田銀治外野手(3年)は伝令に呼ばれた。「顔が怖い。楽しそうにやりな」。稲木恵介監督(42)のメッセージを受け「我に返った。気持ちをリセットできました」。直後の外角球を右中間へ。プロ注目スラッガーの今夏初安打は、貴重な勝ち越し二塁打となった。
今春センバツでは全く緊張しなかったが「負けたら終わり」の3年夏の重圧は想像を超えていた。「気持ちが強く出過ぎてアワアワしちゃった」。3打席目までは珍しく3球三振を喫するなど無安打。チームも一時3点差を追い付かれたが、7回、前田の一打をきっかけに一挙4点を奪った。魔法の一言で主砲をよみがえらせた指揮官は「集中力を持った攻撃ができた」。6月の練習試合ではコールド負けしていた難敵に本番でやり返した。
ネット裏では4球団が視察。中日・米村アマスカウトチーフは「身体能力の高さを感じる」と話し、2安打に加え落ち着いた守備も評価した。春夏連続甲子園へ好スタートし、20日の3回戦は中部の強豪・静岡商と対戦。「次は最初から自分のプレーができる」。重圧も力に変えて、てっぺんへ走る。(武藤 瑞基)