韓国選手村の横断幕撤去 秀吉軍破った英雄の言葉引用が五輪憲章違反に

選手村に掲げられた、韓国チームのバナー(ロイター)
選手村に掲げられた、韓国チームのバナー(ロイター)

 東京五輪の選手村の居住棟で、韓国選手団が李氏朝鮮時代の英雄とされる李舜臣(イ・スンシン)にまつわる標語を一部改変した横断幕を掲げていたことに対し、国際オリンピック委員会(IOC)が韓国側に撤去を求めていたことが17日、分かった。韓国のオリンピック委員会を兼ねる大韓体育会は同日、撤去を決めたと明らかにした。

 問題となった応援幕は、ハングル文字で「臣にはまだ5000万国民の応援と支持が残っております」と記されたもの。これは、豊臣秀吉の朝鮮出兵・慶長の役(1597~98年)における「鳴梁海戦」の際に、李舜臣が王にささげた「臣にはまだ12隻の船が残っております」と書かれた文にちなんでいる。

 韓国では、同海戦で李舜臣がわずか12隻の船で日本軍330隻を撃破したとされており、2014年には「バトル・オーシャン 海上決戦」として映画化された。李舜臣を英雄視する代表的なエピソードとして韓国内では知られるが、当時の日本の文献等では朝鮮海軍は実際にはさしたるダメージを与えられず、すぐに撤退したと記されている。

 大韓体育会は「政治的な意図は全くない」と主張したが、IOCは「戦闘に参加する将軍を連想させる可能性がある」と判断。政治的な宣伝活動を禁じた五輪憲章50条に反するとして、16日に撤去を要請した。バッハ会長も記者会見で、「選手村は選手が平和に生活を送る場所で、対立を生むようなメッセージはあってはならない」と語った。

 韓国は過去の五輪においてもしばしば政治的主張が問題視されてきた。12年ロンドン五輪では、サッカー代表の朴鐘佑が3位決定戦となった日韓戦の勝利直後に「独島(日本名・竹島)は我々の領土」と書かれたメッセージボードを掲げ、後に出場停止と罰金の処分を受けた。18年平昌冬季五輪では、開会式での北朝鮮との合同入場行進で朝鮮半島の脇に竹島が記された統一旗の使用を試みたが、政治的主張としてIOCが認めなかった。

 ◆李 舜臣 李氏朝鮮時代の将軍で、16世紀後半に朝鮮水軍を率いた。韓国内では豊臣秀吉の朝鮮出兵時に日本軍を撃退したとして抗日の英雄に奉られており、ソウル市中心部・光化門広場には銅像が建つ。ただ、現在では文禄の役(1592~93年)の序盤には日本水軍を襲撃して勝利した戦いがあるものの、その後は戦果を挙げられなかったという説が強い。慶長の役での「露梁海戦」で戦死した。

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