【明日の金ロー】今だから分かる「サマーウォーズ」のリアル、「竜とそばかすの姫」の”予習”にも

ガラケーが時代を感じさせる「サマーウォーズ」の一場面(C)2009 SUMMERWARSFILM PARTNERS
ガラケーが時代を感じさせる「サマーウォーズ」の一場面(C)2009 SUMMERWARSFILM PARTNERS

 16日の日本テレビ系「金曜ロードショー」(後9時)では、「細田守監督SP」の第3弾として「サマーウォーズ」(2009年)が放送される。同日いよいよ公開される細田監督の最新作「竜とそばかすの姫」と同じく、インターネット上の仮想世界が舞台になっている。

 改めて作品を見て感じたことは、細田監督の先見性だ。当時も既に多くのパソコンユーザーがいたことは間違いないが、インターネット上の仮想世界をリアルイメージできた人は少なかったはず。登場人物たちが使用している携帯電話は当然のことながらガラケー。スマホのように画面が大きくなく、手元で仮想世界を自由に堪能できるわけではないので、携帯をパソコンにつないでゲームのコントローラーのように使用しているのはご愛嬌(あいきょう)だが、ネット世界でやっていることは現在と同じといえる。

 当時作品を見た人は、仮想世界「OZ」に登場するアバターのかわいらしさなどに魅力を感じた一方で、ネットが現実を恐怖に陥れる可能性があるということにピンと来なかっただろう。ところが、公開から10年以上が経過した今では、システム障害によって銀行のネット取引ができなくなったり、アカウントが”乗っ取り”に遭うのは珍しいことでは無くなっている。「OZ」での出来事がリアルになっているからこそ、「2021年の『サマーウォーズ』の楽しみ方」があると思う。

 細田作品のファンの中には、本作品と「竜―」を比較してやろうと、手ぐすねを引いて待っている人もいるだろう。それはそれで、一つの楽しみ方ではある。どちらの作品が好きかという優劣をつけることも否定はしない。ただ一つ言えるのは、本作を見た後に「竜―」を見ると、私が過去の細田作品から常々感じている「人間はきれいごとだけでは生きてはいけないが、その先に未来はある」というメッセージを、より強く受け取ることができたような気がした。

 ところで、「竜―」の予告編では、仮想世界内のヒロイン・ベルがクジラの鼻先に立っているシーンが登場するが、本作品でも「OZ」の守り主として登場するジョンとヨーコはクジラの姿をしている。そういえば、「バケモノの子」でも、渋谷の街にクジラが現れた。

 これは、細田監督がクジラ好きなところに理由にあるという。クジラはかつて、西洋では油を取るための動物だったのが、現在では捕鯨禁止運動に見られるように平和の象徴とみられる向きがある。「それが、人間の都合に振り回されているように見えて、肩入れしたくなってしまうんです」と細田監督。ちなみに、クジラ同様に人間の勝手なイメージが原因で存在を否定されていると考えているのがオオカミとのこと。…ハイ、そういうことです。

 別原稿では、細田監督の「竜―」に関するインタビューもあるので、ぜひ一緒にお読みください。(高柳 哲人)

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