【夏競馬の名場面】1995年の世代初重賞を快勝した「アルプスの天才少女」ビワハイジ

スポーツ報知
95年の札幌3歳Sを武豊騎手を背に快勝したビワハイジ

 新馬戦がスタートしたと思ったら、今週は現世代初の重賞(函館2歳S)である。来春のクラシックへ向けて、主導権争いが静かに始まることになる。

 26年前、札幌3歳S(現・札幌2歳S、当時芝1200メートル)を取材した。俗に言う1週間の「通し取材」は初めてだった。当時、北海道開催は札幌→函館で、札幌3歳Sが世代最初の重賞として行われた。連日、札幌競馬場の出張厩舎へ足を運んだが、疲れない。当然だった。焦げ付くような猛暑の関西地方とは、比べようのない快適な環境だった。

 ターゲットは決めていた。浜田光正厩舎の牝馬ビワハイジだった。武豊騎手とのコンビで、95年デビューの新馬の開幕戦を飾っていた。父はカーリアン。欧州で脚光を浴びていた。母系をたどるとドイツの名門牝系が浮かび上がってくる。浜田厩舎の「ビワ」といえば、1993年の年度代表馬ビワハヤヒデ。前年に引退した先輩と入れ替わるように現れた「アルプスの天才少女」だった。

 「瀬戸朝香みたいに、いい女でしょ」担当の樺沢厩務員は、当時テレビで見ない日がないくらいの人気女優を引っ張り出すほど、愛情を注いだ仕上げだった。追い切りが終わったあと、勝利への確信を「大丈夫」という言葉で告げられた。

 レース当時は、雨で稍重のコンディション。2番手を追走したビワハイジは直線半ばで抜け出した。「少し強引でしたが積極的に行きました。それにしても強い内容でした」。前週に史上最速で通算1000勝を達成したばかりの武豊騎手は、勝ちっぷりを絶賛した。それも、そのはず。2着キッスパシオンには3馬身半差をつけた。単勝は3番人気。意外だったが、キャリアの浅い3歳戦(現2歳)らしい決着とも言えた。

 ビワハイジは暮れの阪神3歳牝馬S(現・阪神ジュベナイルフィリーズ)を優勝した。クラシックロードは桜花賞が15着に終わり、オークスではなく日本ダービーに挑戦。結果は13着だったが、見事なチャレンジぶりだった。それだけではない。引退後、繁殖牝馬として大きな仕事を成し遂げる。

 アドマイヤジャパン、アドマイヤオーラと、次々と重賞ウィナーを送り出した。そして2006年、スペシャルウィークとの間に誕生した牝馬がターフを席巻する。ブエナビスタだった。その後もジョワドヴィーヴルが阪神JFを優勝するなど、コンスタントに活躍した。

(編集委員・吉田 哲也)

競馬

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請