前田大然 献身プレーの原点は高校時代「母ちゃん、後ろ乗って」母が涙した成長の瞬間

スポーツ報知
ミニゲームで藤田譲瑠チマ(左)と競り合う前田大然

 FW前田大然(23)といえば、攻守に走り続ける献身的なプレースタイルが持ち味。備わったのは山梨学院高時代だ。2010年の全国高校選手権優勝に憧れて13年に入学したが、1年生の冬頃、チームの輪を乱しかねない行動を取ったことにより謹慎処分を受けた。

 寮を出て、1年間部活動には参加できず。人生の大きな転機を「苦しいことだらけだった」と振り返るが、前に進めたのは、家族を始め周囲のサポートがあったからだ。

 サッカーへの情熱が消えることはなかった。「僕の目標は変わってない。山梨学院で優勝したい」。前田の覚悟を聞いた母・幸枝さんは、学校の近くに息子が住むワンルームの部屋を借りた。

 大阪の実家から野菜を中心に毎週食料を届け、食事を作り置いた。前田は部活動に参加できない間は社会人チームで練習に励み、料理をこなすなど、日常生活から律した。

 部活を離れてしばらくのこと。幸枝さんが大阪に帰る時、自転車を押しながら息子が言った。「母ちゃん、電車間に合わへんから後ろ乗って。荷物運ぶから早く早く」。息子の成長を感じ取った瞬間だった。

 「スーツケースを前のかごに無理やり入れて、自転車の後ろに私を乗せながら必死に駅まで送ってくれました。『大然、こんなことできるようになったんや』って涙が出るくらいうれしくて。その時はこらえて、帰りの高速バスでぶわーって泣いて帰った思い出があります。大然なら目標に向かって頑張れる」

 高校時代に培った「誰かのため」「チームのため」という信念を今も貫く。五輪への夢切符をつかんだ前田は「一人でサッカーはできないし、生活もできない。たくさんの支えがあるからこそプレーできていると感じた。親にも迷惑かけたので、恩返しをしたい」と秘める思いを明かした。感謝をパワーに、勝利へと走る。(小口 瑞乃)

 ◆前田 大然(まえだ・だいぜん)1997年10月20日、堺市生まれ。23歳。山梨学院高卒業後、J2松本に入団。ポルトガル1部マリティモなどへの期限付き移籍を経て昨年8月から横浜M。今季より完全移籍しリーグ19試合10得点。173センチ、67キロ。右利き。

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