チケット収入900億円水の泡…東京五輪「無観客」に小池百合子都知事「断腸の思いでございます」

スポーツ報知
臨時会見を開いた東京都の小池百合子知事

 東京五輪の東京、神奈川、千葉、埼玉の1都3県の会場が全て無観客となることが8日、決まった。組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などによる5者協議で合意した。政府は同日、東京都への新型コロナウイルスの緊急事態宣言再発令と3県のまん延防止等重点措置の延長を決定。これを受け、有観客を断念した。一方、宮城、福島、茨城、静岡の地方会場は観客を入れる方針。北海道は調整中だが、33競技中3競技のみ有観客という近代五輪の歴史上極めて異例の大会となる。

 東京五輪はいびつな形で一応の決着を見た。緊急事態宣言の再発令を受け、この日来日したIOCのバッハ会長を含めて5者協議及び自治体との会議を開催。1都3県(埼玉、神奈川、千葉)の会場は無観客、宮城、福島、静岡の3県については「収容人数50%以内、最大1万人以内」の方針に基づいて観客を入れ、茨城は学校連携の分のみを許容する形となった。組織委の橋本聖子会長は「極めて重い判断が示された。極めて限定した形での開催を余儀なくされるのは残念。観戦を楽しみにしていたチケット購入者の方には誠に申し訳ない」と話し、会議後の足取りは重かった。

 6月には一度は観客数を決め、チケットも約364万枚から約272万枚に圧縮するため再抽選を実施した。しかし、変異株の猛威を抑えきれず、あえなく方針を転換。42会場のうち、東京25、埼玉3、千葉3、神奈川3の会場から観客が消える。札幌市でのサッカーとマラソンも観戦自粛を要請しており、有観客の競技は静岡(自転車)、福島(野球・ソフトボール)、茨城、宮城(ともにサッカー)の4県3競技。「50%、1万人以内」の制限下では、合計の収容人数はわずか5万4700人に過ぎない。組織委が当初見込んでいた900億円のチケット収入は、ほぼ水の泡となる。

 バッハ会長は5者協議で「我々はどのような措置であっても、必要なものであればサポートする」と述べたが、ある組織委幹部は「100%の準備ができないまま大会に突入するのは確実。期間中もいろんな場面で混乱が生じるだろう」と、強い懸念を表明。想定外の作業に忙殺され続ける職員も「振り回されっぱなしだ」と口をそろえた。

 国立競技場での開閉会式も含めプラチナチケットを手にしていたファンにとっては、悲劇そのものだ。最注目競技のひとつである8月1日の陸上男子100メートル決勝(国立競技場)に当選していた神奈川県在住の40代の男性は「日本の選手が東京で躍動する姿をずっと心待ちにしてきた。観客の有無を決めるのがあまりにも遅すぎる。ファンの気持ちを置き去りにしすぎではないか」と、訴えた。

 翻弄(ほんろう)され続ける巨大イベント。ファンの後押しを信じていたアスリートの失望感も計り知れない。橋本会長は「アスリートの皆さんは五輪にかけてきた。多くの方々に見ていただきたい気持ちはあったと思う。素晴らしいパフォーマンスを見ていただく舞台づくりに全力を尽くす」とおもんぱかった。

 都内で無観客開催が決まったことについて、小池百合子都知事は8日夜の臨時会見で「直接見たいと楽しみにしていた方々もたくさんいらっしゃると思います。断腸の思いでございますけれども、家族と自宅で安心安全にご覧いただきたい」と話した。五輪の開催意義については「大会を成功させることが東京の日本の安全の確保を確認する機会にもなっていく」と言及した。

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