寄席支援のクラファンが1億円超えの大成功 実現するか各派合同のファン感謝「夢の寄席」

スポーツ報知
寄席支援のクラウドファンディングで手を組んだ落語協会・柳亭市馬会長(左)と落語芸術協会・春風亭昇太会長

 コロナ禍で苦境にある演芸界に明るい話題があった。寄席支援のクラウドファンディング(CF)で1億円を超える支援が集まったのだ。

 落語協会(落協=柳亭市馬会長)と落語芸術協会(芸協=春風亭昇太会長)が手を組み、コロナ禍で存続の危機にある都内の寄席を支援するために5月18日にスタート。開始4日目で当初の目標金額5000万円を突破。8000万円を第2目標に設定したが、6月30日の締め切りを前に支援が殺到。1億円を超え、7000人超のファンが支援した。

 今回支援の対象となったのは都内の5寄席。上野・鈴本演芸場、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場、お江戸上野広小路亭だ。新宿、浅草、池袋の3寄席は落協と芸協がほぼ交互に興行を打つが、鈴本は落協のみ、広小路亭は芸協が1~15日、興行を行っている。そして、そこでは両協会の芸人が同時に出演することはない。また東京の落語界は落協、芸協の他に、五代目円楽一門会、落語立川流と4派があり、円楽一門会、立川流は原則、寄席には出演できない。

 ただ、CFを始める際の5月18日の会見で市馬会長の興味深い発言があった。デリケートな話題なので、会長としてではなく、個人的な意見として、と強調はしたものの「私個人としましては、寄席に年10日間でいいんですけれど、全協会、全員が交流する、野球で言えば交流戦のような夢の寄席が年に1回でもあればいいなと。私の腹の中にはあるんですけど…、中々実現が難しいんですけど…」。

 その発言で「夢の寄席」を想像してワクワクした。そして、落語関係者が約15年ほど前に、似たようなプランがあったことを教えてくれた。関係者によると、落協・三遊亭円歌(先代)会長、芸協・桂歌丸会長時代に、落語界を束ねる「落語協議会」を作って、両協会が加入し、円楽一門会、立川流は個人参加を募る動きが具体化したという。そして、垣根を越えて芸人が出演するファン感謝デーを寄席で開催するアイデアも出たが、「協議会」の設立も頓挫し、ほどなく立ち消えとなったという。

 個人的には両協会が交互に興行を打つ現在のスタイルが好きで、プロ野球のセ・パ両リーグのように切磋琢磨(せっさたくま)することで発展すると思っている。そのプロ野球でもオールスターはあり、交流戦もある。10日間限定の「夢の寄席」があれば、寄席が活性化するのは確実だ。

 ただ、寄席は若手からベテランまでが混在し、色物を挟んで様々なタイプの芸人が出演し、そして出演者全員がトリに向かって、みんながパスをつないで盛り上げていくような独特の流れがある。大看板を並べればいいということではない。これも4番打者ばかり集めても勝てないプロ野球と似ている。それだけに、どういう顔付けが「夢の寄席」になるか、勝手に想像するのも楽しい。

 今回のCFは両協会が初めて合同で行った画期的なものだ。市馬、昇太両会長は同世代で、昨年からのコロナ禍では、密に連絡を取り合い対処し、ホットラインがある。そして、寄席の存続に多くの支援者がいることが証明された。寄席ファンが求める番組を提供するのも最高の“リターン”になるはず。「協会が違うから」「出番が減るから」などの理由は寄席ファンには関係ないもの。今回のCF成功を機に、活発な議論が生まれることを望んでいる。(記者コラム・高柳 義人)

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