田中康夫氏、横浜市長選出馬会見でカジノ反対明言…2016年維新公認は「私の黒歴史」

スポーツ報知
横浜市長選への出馬表明会見を行った田中康夫氏

 元長野県知事で作家の田中康夫氏(65)が8日、横浜市内で会見し、横浜市長選(8月8日告示、同22日投開票)への出馬を正式表明した。争点となっている、市が山下ふ頭(中区)に誘致を進めるカジノを含む統合型リゾート施設(IR)については「既に横浜にカジノ、IRは設けないことで市民のコンセンサス(合意)が取れている」と反対を明言。「『横浜に住んで良かった』と思えるような街作りをしていきたい」と意欲を見せた。

 地方政令都市の選挙でありながらカジノ問題で日本中の注目が集まる横浜市長選。出馬を正式表明した田中氏は、「なんとなく」ではなく「間違いなく」カジノは必要ないと明言した。

 横浜市のIRについては、さまざまな団体やメディアがアンケートを行っているが、反対派が多数。カジノ反対の市民団体も精力的な活動を行っている。それだけに、田中氏は「カジノについては、答えが出ています。『横浜には設けない』というのが市民のコンセンサス。市長選後に住民投票を行う必要もない」と言い切った。

 東京生まれ、長野育ちで、横浜はなじみのない土地のようにも見えるが現在、横浜エフエムのラジオ「たまらなく、AOR」(水曜・深夜0時)のパーソナリティーを担当。出演を通じてできた知人や、横浜在住の大学時代の友人らと話をする中で「横浜の光と影を知るようになった」。今年の誕生日である4月12日に住民票を移し、横浜市民となった。

 「日本で最初に世界に開かれた街が横浜。その質を充実させることが日本の未来を占うことになるのではと思ったし、横浜が変わることが日本に良い化学反応を与えられると思います」と立候補の理由を説明した。

 田中氏は2016年の参院選に東京選挙区で出馬(落選)した際に、大阪でカジノを推進する維新の公認候補だった。その点を突っ込まれると「それは私の黒歴史ですね」と苦笑い。カジノに対する認識は以前から変わっておらず「地域に人を出さない囲い込み運動で、地域が(経済的な)おこぼれをもらうのは難しい。そもそも、『人口減少するから』『税収が赤字だから』を理由にカジノを作るんだったら、全国の自治体に作らないといけなくなる」と指摘した。

 他にも市内の各区ごとに問題を挙げ、改善していく必要性に言及。選挙戦では区ごとに異なる内容の映像を作り、それぞれの住民が自分たちの生活する地域の問題を身近に感じられるようにして戦っていくという。

 ◆田中 康夫(たなか・やすお)1956年4月12日、東京・武蔵野市生まれ。65歳。幼少期に長野に転居、松本深志高卒業後の76年に一橋大法学部入学。在学中の80年に「なんとなく、クリスタル」で文芸賞を受賞し作家デビュー。その後はタレントとしてテレビに出演。月刊誌「噂(うわさ)の真相」に連載した「東京ペログリ日記」も話題を集めた。

 ◆田中康夫氏の政治家としてのこれまで 2000年に長野県知事選に出馬し、初当選。「脱ダム宣言」やガラス張り知事室などで話題となった。一方で、県議会との確執から02年に不信任決議が可決されて失職。同年の知事選では再選されたが、3選を目指した06年には敗北した。その後は国政に転じ、07年参院選で自ら結党した新党日本から比例で出馬し当選。09年衆院選で兵庫8区からくら替え出馬し、当選した。しかし12年衆院選では落選。16年参院選では維新公認で東京選挙区から立候補も、再び落選した。

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