「22歳の時、将棋と出会って」 加藤圭女流二段インタビュー〈3〉

スポーツ報知
加藤圭女流二段(カメラ・矢口 亨)

 18歳の青年が再び輝きを放った夏。全く異なる種類の光が将棋界を照らすかもしれない。加藤圭女流二段(29)は22歳当時の2014年に本格的に将棋を始め、18年に女流棋士になった超晩学の新鋭だが、強豪勢を連破する快進撃を続けている。新設された第1期白玲戦・女流順位戦で64人中4位内に入ることを確定させ、タイトル戦出場にも王手を掛けている。ベールに包まれた素顔に迫った。

(聞き手・北野 新太、カメラ・矢口 亨)

 ―研修会入会は2016年。もはや最近です。

 「ある程度の力がついて、女流棋士になりたいと思ってからは突っ走ってきました。私、おかしいんですけど、なぜかなれないとは思わなかったんです。せっかく大学院も修了したのに、スクールカウンセラーになるための臨床心理士の試験も受けないという…。傍から見れば確実におかしい方向に進んでいますよね。もう少し危機感があった方がいいのかもしれないくらい(笑)。でも研修会は楽しかったです。加藤結李愛ちゃん(女流初段=18)と仲良くなったりして。お母様とも親しくさせていただいて『ん? 私は結李愛ちゃんとお母様とどっちの年齢の方が近いのかな』とか、ふと考えたりもしましたけど(笑)」

 ―もっと早く将棋と出会っていたら、とは考えなかったのでしょうか。

 「もちろん何度も思いました。もっともっと早く出会いたかったって。でも、早く始めていたら絶対にやめてました。間違いなく。私には特別な世界なんて関係なくて、ただ適当に生きていく人間だとしか思ってなかったんです。こんな自分でいいのか、なんて思ったって何ができるわけでもないですし、働かなきゃいけなくなったら働くようになるって。それだけでした。実際、研修会に入会してからも障害を持った子供たちの学童保育施設でアルバイトをして、すごく貴重な経験をしました」

 ―そして、将棋という競技が、そして将棋によって生まれた人との縁が人生を切り拓いた。

 「今も、負ける度にこの世の終わりのようなどん底に落ちるくらいヘコみますけど、将棋は勝てるとうれしいですね。一昨年の春、考えられないような負け方をして3か月くらい将棋が嫌になった時期もあります。でも、ちょうど結婚する時と重なって、時間が解決してくれました。夫は将棋が全く分からない人ですけど、家のことをしてくれて助かっています。あまり分かっていない人ですけど『次、勝ったらタイトル戦だね!』とは言ってくれました(笑)」

 ―失礼ですけど、8月には30歳になります。

 「20代は修業でした。10年前の自分には『明日は何をして遊ぼうかな』『明日は何を食べようかな』ということくらいしかなかった。何も。これから30代になって、どこまで強くなれるか分かりませんけど、晩学でも活躍できるんだと伝えたいです。人前に出るのは不得意なので勝つことが普及になればと思います。もっと勝たないと…」

 ―夢は。

 「女流棋士になったからには一度はタイトルを取りたいです。競争が激しくなる中、狙います、と言えるほど甘くはないともちろん思っていますけど。私、将棋を指している間はすぐに悲観的になるタイプなんですけど、あんまり負ける負けるって考えたり言わないようにすると、どこか楽観的になれるんです。間違いなく言えることは、私には何も失うものがないということ」

 ◆加藤 圭(かとう・けい)1991年8月18日、茨城県日立市生まれ。29歳。加瀬純一七段門下。14年、22歳で本格的に将棋を始める。18年、女流2級(女流棋士正資格)に。中飛車を中心とした振り飛車党。通算82戦46勝36敗、勝率・561。趣味はゲームで「ファイナルファンタジー9」が人生最高ソフト。「ポケットモンスターブラック・ホワイト」にも「総プレー時間を見ると恐怖を覚えるほど」ハマッた。

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