「22歳の時、将棋と出会って」 加藤圭女流二段インタビュー〈1〉

スポーツ報知
加藤圭女流二段(カメラ・矢口 亨)

 18歳の青年が再び輝きを放った夏。全く異なる種類の光が将棋界を照らすかもしれない。加藤圭女流二段(29)は22歳当時の2014年に本格的に将棋を始め、18年に女流棋士になった超晩学の新鋭だが、強豪勢を連破する快進撃を続けている。新設された第1期白玲戦・女流順位戦で64人中4位内に入ることを確定させ、タイトル戦出場にも王手を掛けている。ベールに包まれた素顔に迫った。(聞き手・北野 新太、カメラ・矢口 亨)

 ―新設の白玲戦・女流順位戦で里見香奈女流名人(清麗、女流王位、倉敷藤花)、西山朋佳女流三冠(女王、女流王座、女流王将)、渡部愛女流三段と並ぶ4強に入りました。里見さんと西山さんは昨期までの女流七大タイトルを独占する2人。渡部さんもタイトル経験者です。あの3人と並んで新鋭の加藤さんがベスト4に入るのは、将棋の歴史において極めて稀なことと言えます。

 「正直、私がいちばんビックリしています。順位戦ではどこかで負ける、どこかで負けると思いながら指していました(順位決定リーグ戦B組で7戦全勝の成績を残して1位に。来期のA級以上を確定させた)。強くなった感覚は全然ないんです」

 ―(取材時の)直近4局も伊藤沙恵女流三段(タイトル挑戦8度)、加藤桃子女流三段(タイトル獲得通算8期)、香川愛生女流四段(タイトル獲得通算2期)、渡部女流三段に4連勝。超強敵ばかりを下していました。正直、ちょっと考えられないことを起こしている。

 「これもさすがにどこかで負けると思っていましたけど…。以前は遠すぎる異次元の方々。今もすごい差はありますけど、差を認識できるようになって、いつか追いつきたいと思えるようになりました」

 ―いったいどれだけの質・量の勉強をしているのかと将棋界でも話題です。どんなことに取り組んでいるのでしょうか。

 「いや…ホントに何も変わったことはしてないんです。勉強は毎日5時間くらいでしょうか…。研究会、VS(練習対局)、詰将棋、棋譜並べくらいで。棋譜並べは…趣味みたいなものですから勉強とは言えないですね。最新の棋譜を並べるだけで、特定の先生の棋譜を、とかはないです。あ、でも大山先生(故・大山康晴十五世名人)の全集はたまに並べます。本当に素晴らしいなあと並べながら思っています。AIも使ってはいますけど、参考程度に、というくらいです」

 ―9日の女流順位戦準決勝で西山女流三冠に勝利すると、ついにタイトル戦の白玲戦七番勝負に進むことになります。新設された序列1位の棋戦でタイトル初登場なんていうことになったら、ホントに…。

 「いや、西山さんは強すぎます。自分の力を出し切って少なくとも良い勝負にはしたいですけど…。いや、でも、ここまで来たからには弱気なことは言わず…勝ちたいです。タイトル戦には…やっぱり出たいです。自分はどこか楽観的なところがあるので、やってみなきゃ…というのはあります。でも、勝てるイメージはちょっと湧かないですね(笑)」

 ―女流名人戦でも初のリーグ参加だった昨期は5勝4敗。いきなり勝ち越し残留して4位に。上位があまりに手厚く、予選通過者は苦戦を強いられるケースが多いので、素晴らしい結果でした。

 「女流名人リーグ入りが女流棋士になった時からの目標だったので、残留できたのは信じられなかったです。今期は、なんとか挑戦権を争った状態で最終戦を迎えたいと思います。今、3連勝で首位に立っている鈴木さん(鈴木環那女流三段)と最終戦で当たるのですごく怖いです。鈴木さん、すごーく好調なので」

 ―過去10年以上、女流棋界に君臨する里見女流名人とはどんな存在なのでしょうか。

 「高校生の時から12連覇ですからね…。信じ難いような人で本当に雲の上の存在ですけど、いつか戦いの機会を持って、教わりたいです(注・将棋界は下位者が上位者と対戦する際に『教わる』という用語を使うことがある)。実は同い年なんですよ…。同い年だなんて思えることはないですけど」

◆加藤 圭(かとう・けい)1991年8月18日、茨城県日立市生まれ。29歳。加瀬純一七段門下。14年、22歳で本格的に将棋を始める。18年、女流2級(女流棋士正資格)に。中飛車を中心とした振り飛車党。通算82戦46勝36敗、勝率・561。趣味はゲームで「ファイナルファンタジー9」が人生最高ソフト。「ポケットモンスターブラック・ホワイト」にも「総プレー時間を見ると恐怖を覚えるほど」ハマッた。

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