アメフト元関学大エースQB奥野耕世が現役復帰を決めた理由とは

スポーツ報知
社会人チームのホークアイで現役復帰した元関学大QB奥野耕世(右)。左は同DL斎藤圭吾

 昨年度まで関学大の甲子園ボウル3連覇に貢献し、第一線を退いていたQB奥野耕世選手(23)が4日、社会人リーグ・X2ウエストの「ホークアイ」(大阪府箕面市)で現役に復帰した。4日に兵庫・王子スタジアムで西宮ブルーインズとの交流戦に途中出場し、的確なパスで大きくゲインを奪って好機を作った。結果は8―8の引き分け。復帰戦は勝利で飾れなかったが「負けはしなかったからいいかな。みなさん優しくて楽しい」と目を輝かせながら話した。

 奥野選手は2018年5月、日大との定期戦で悪質タックルを受けた当事者だ。その後、3週間の離脱を乗り越えて復帰。現在2年目記者の私は当時、奥野選手より1学年上の大学生だったため、新聞やテレビなどで連日報道されていたことを記憶している。19歳、大学2年生であの出来事を経験した奥野選手のことを考えると、計り知れない感情が渦巻いていたと思う。だが、タックルした相手選手が同8月に復帰意思を示したときには「うれしかった。いつか戦いたい」と素直な気持ちを話すなど、真摯(しんし)に対応していた姿が印象的に残っている。

 その後は、エースQBとして関学大の甲子園ボウル3連覇の立役者に。今年1月のライスボウル・オービック戦を最後に、社会人では競技を続けない意向を示し、在阪のテレビ局に就職していた。

 では、なぜ半年たった今、現役復帰を決断したのか。社会人1年目で、しかも入社から数か月というのは、慣れないことばかり。環境の変化など、とても大変な時期のはず。コロナ禍で思うようにいかないことも多々あるだろう。しかし、5月初旬頃、関学大の先輩であるDL斎藤圭吾(25)から「一緒にアメフトやろう」との誘いを受けた。それと同時期に「ちょうどタイミングがかぶった」とホークアイの練習に参加。同期入団となった斎藤は「(奥野は)結構悩んでました」というが、仕事との両立などについて約1か月考えた末、復帰を決めた。

 現在は仕事を優先しながら、日曜日に約3時間の練習に励む。「細かいところが難しい。学生のときは毎日(練習)だったけど、その場で(連係を)合わせていくしかない」と学生と社会人の違いに戸惑うこともあった。しかし、試合では半年間のブランクを感じさせない動きだった。

 この日は、チームのヘルメットが間に合わなかったため、慣れ親しんだ関学大時代のものを着用。新しいものが届き次第変更する予定だが、「置いておこうかな」と4年間の思い出が詰まったヘルメットを見つめた。私自身、奥野選手を取材のするのはこの日が初めてだったが、グラウンド上でのハツラツとしたプレーや、アメフトについて話す姿は、テレビで見た3年前のイメージと変わらなかった。直接話を聞くことで、より一層“アメフトが好き”という素直な気持ちがひしひしと感じ取れた。

 社会人アメフトは今季、4月23日に新型コロナウイルス感染再拡大の影響で緊急事態宣言が発令されていたため、5、6月の春季公式戦が全て中止された。しかし、秋季公式戦は2年ぶりの開催が決定。「誘いで入ったので、チームに貢献できれば」。新たな一歩を踏み出した奥野選手が、2017年度以来となるホークアイのリーグ昇格のピースになりそうだ。(記者コラム・菅原美沙)

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