【有森裕子の本音】 「レガシー」になり得るもの

有森裕子
有森裕子

 いよいよ開幕まで1か月を切った東京五輪は、「SDGs(持続可能な開発目標)」を本格的に掲げた初の五輪と言われています。SDGsには17の目標が設定されており、その中でジェンダーについての問題課題に興味深く、活気ある取り組みをしているのが、1996年のアトランタ五輪で競泳代表だった井本直歩子さんです。

 現役引退後はユニセフの教育専門官に。その経験を生かし、このほど一般社団法人「SDGs in Sports」という団体を設立しました。これは、ジェンダー平等の実現や、ダイバーシティー(多様性)とインクルージョン(一体性)の推進に向けた問題の本質を知る中で、スポーツ界の改革や社会課題の解決に貢献するための基礎知識を学び、共有する機会の創出を促す団体です。

 すでに3度のウェブセミナーも行われ、私も先日参加、発言させていただきました。モデレーターを中心に、各専門分野のパネリストと、参加者であるOG・OB・現役のアスリート、企業・メディア関係者、そして未来を担う学生、それぞれ活発な意見交換がされているのが印象的でした。

 東京五輪は、コロナ禍における今まで抱えたことのない困難を伴う社会状況の中で開催されるにあたり、「開催意義は何なのか? そしてレガシーとは?」との問いが、何か落ち着かない不安な日々の中で投げかけられることが続いています。私自身も元オリンピアンとして、スポーツがこれから社会と共に未来に向け育みを担うものであるために、日々自問自答をし続けています。

 そんな中、東京五輪をきっかけにスタートした井本さんの取り組みは、まさに「レガシー」になり得る要素を生み出すものではないでしょうか。競技を見て応援するだけではなく、元アスリートが自分の経験を基に、新しい挑戦をしていることも知ってほしいと思っています。(女子マラソン五輪メダリスト・有森裕子)

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