「金狙える」リレー侍は「多田―山県―桐生―サニブラウン」…リオ銀“現場指揮”苅部俊二氏が選出

桐生祥秀
桐生祥秀
ロンドン五輪以降の主要国際大会男子400メートルリレー
ロンドン五輪以降の主要国際大会男子400メートルリレー
400Mリレー候補メンバー比較
400Mリレー候補メンバー比較

 日本陸連は2日、東京五輪代表の追加内定選手を発表した。リレー専門要員として桐生祥秀(25)=日本生命=、デーデー・ブルーノ(21)=東海大=が選ばれ、悲願の金メダルを目指す男子400メートルリレーの陣容が見えてきた。2016年リオ五輪のチームを現場で指揮し、過去最高の銀メダルに導いた苅部俊二氏(52)=法大監督=がスポーツ報知に本大会の展望を語り、「金メダルを目指せる戦力は確実に整った」と背中を押した。(取材・構成=細野 友司)

 金メダルは、現実目標。日本記録9秒95を持つ山県を筆頭に、4人の9秒台スプリンターを擁する日本。リオ五輪の“リレー侍”を現場指揮した苅部氏も、今大会の陣容にうなった。

 苅部氏「9秒台が4人というのは、なかなか他国を見ても難しいこと。世界のトップクラスと言っていいでしょう。現在の日本短距離界のトップ選手が、ほぼ漏れなく入ったという印象。金メダルを狙う戦力は、確実に整ってきています」

 軸は6月の日本選手権(大阪)で初優勝した多田。そして、山県。今季絶好調の2人が生み出した勢いを後半へ。現状の“最適解”は、どのような走順だろう。

 苅部氏「理想は、多田―山県―桐生―サニブラウンでしょうね。多田君のスタートは魅力で、山県君は9秒95の力と経験がある。曲走路の加速がうまい桐生君は、世界屈指の3走です。3走までスムーズにつなげたら、盤石の展開になる。バッチリいったら、いよいよ金メダルも見えてくるでしょう」

 不測の事態に備え、オプションが作れるのも現在の選手層の強み。桐生は右アキレスけんを痛めており、日本陸連・麻場一徳強化委員長は「ドクターにも、何とか間に合うのではないか、という所見を頂いている」としたが、先行きは不透明。サニブラウンも左太ももに不安を抱えている。

 苅部氏「曲走路は負担が大きくて桐生君が難しければ、小池君が3走を担える。アンカーも選択肢は広い。まず、デーデー君はけがしている箇所がなく、勢いがあります。動きも良くて、100メートルの自己ベストが10秒19ですが、10秒0台で走る力はあるとみます。飯塚君も状態が上がれば、アンカー候補です。いざ、3走がトップでバトンを持ってきて金メダルまであと1歩となれば、重圧は計り知れない。そんな中でも彼なら安心感がありますし、精神的支柱としても存在感は大きいですね」

 ライバルは19年ドーハ世陸王者米国、2位英国など。同大会で3位の日本もアジア新の37秒43を出しており、このタイム更新が頂点への目標となりそうだ。

 苅部氏「米国は今回のメンバーの経験値が少なく、バトンのロスがあるかもしれない。英国は強敵ですし、中国も日本をライバル視して力を高めていると思います。伏兵は19年世界リレーを制したブラジル。7月中旬以降、実戦形式のトライアルなどを経て最善の組み合わせを見極めることになりますが、安全にバトンをつないでも37秒台が出せるように、うまく仕上がることを期待します」

 ◆男子400メートルリレーの登録メンバー 各チームの枠は、前回の16年リオ大会から1人減って5人。100メートル代表はリレーメンバーを兼ねることが決まっており、日本の場合は山県、多田、小池の3選手が該当。残る2枠に、この日追加代表入りした桐生とデーデーの2人が「リレー専門要員」として名を連ねる。ただ、実際にレースを走る選手は、5人の登録メンバーに限らず個人種目にエントリーしていれば誰でも可能。そのため、200メートルで代表権を持っているサニブラウン、飯塚、山下らも候補になる。

 ◆“リレー侍”のライバル 最も手ごわいのは陸上大国の米国。五輪選考の全米選手権(6月)100メートルを9秒80で制したブロメル、200メートルを19秒74で勝ったライルズの二枚看板は破壊力抜群。200メートルでは17歳のナイトンが19秒84で3位に食い込んで代表入りするなど、次世代のタレントも続々台頭している。英国は17年ロンドン世陸金メンバーで経験豊富なウジャが、5月に今季英国勢トップの10秒03をマーク。中国は18年アジア大会王者のエース蘇炳添が、4月に向かい風0.9メートルの悪条件下で9秒98を出し、地力の高さを示した。

 ◆苅部 俊二(かるべ・しゅんじ)1969年5月8日、横浜市生まれ。52歳。横浜市立南高―法大。現役時代は、94年アジア大会を制した400メートル障害などをこなし、96年アトランタ五輪男子1600メートルリレー5位入賞。16年リオ五輪は日本陸連短距離部長として現場指導にあたり、男子400メートルリレーを過去最高の銀メダルに導いた。

桐生祥秀
ロンドン五輪以降の主要国際大会男子400メートルリレー
400Mリレー候補メンバー比較
すべての写真を見る 3枚

スポーツ

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請