【箱根への道】中央学院大トップ通過いける…全日本大学駅伝選考会で見えた10月予選会勢力図

第3組でワンツーフィニッシュした中央学院大の(左から)武川と小島
第3組でワンツーフィニッシュした中央学院大の(左から)武川と小島

 今季の“大学駅伝”が始まった。学生3大駅伝の第2戦、全日本大学駅伝(11月7日、名古屋市~三重・伊勢市)の関東選考会が6月19日に相模原ギオンスタジアムで行われた。1万メートルのレースを4組行い、各校2選手が出場。8人の合計タイムで7枠の本戦出場権を争った。駅伝と同様の重圧がかかるレースで今季勢力図の一端が見えてきた。実力者がそろう中央学院大、勢いある駿河台大など今大会の結果を受け、第98回箱根駅伝予選会(10月16日)の行方を竹内達朗記者が大胆に占った。

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 あと3か月半に迫った箱根駅伝予選会。全日本大学駅伝関東選考会の結果を踏まえ、10枠の本戦出場権をかけた戦いを予想したい。

 全日本選考会は1万メートル。13人登録で8人が出走し、8人全員の合計タイムで競った。一方、箱根予選会はハーフマラソン(21・0975キロ)。14人登録で12人が出走し、上位10人の合計タイムで争う。合計約211キロの箱根予選会に対し、全日本選考会は計80キロと半分以下の距離だが、ひとりでも途中棄権すると、その時点で伊勢への道は途絶える。古くは05年に東海大、最近では16年に神奈川大と創価大、18年に中大が途中棄権して出場権を逃した。両大会とも個人のレースではなくチーム戦。まさに駅伝だ。「速さ」より「強さ」が求められることは共通している。

 今年の全日本選考会には20校が参加。そのうち創価大、国学院大、東京国際大の3校は箱根シード校で、今季の予選会とは無縁だ。トップ通過は東京国際大。7秒65の僅差の2位に国学院大が続いた。箱根シード校としての貫禄を見せた。

 3位の法大と4位の拓大は堅実な走りが光った。法大には前回箱根1区区間賞の鎌田航生(4年)、拓大には同2区5位のジョセフ・ラジニ(3年)とタイムを稼げるエースがいることも心強い。

 中大は直後の日本選手権5000メートルのために温存したエース吉居大和(2年)をはじめ主力の森凪也(4年)、千守倫央(3年)を欠いたが、5位通過で9年ぶりの全日本出場を決めた。選手層は厚い。

 6位は中央学院大。第2組で主力の吉田光汰(4年)が32分0秒47も要する大ブレーキを喫したが、直後の第3組で小島慎也(3年)と武川流以名(3年)がワンツーフィニッシュでチームの危機を救った。勝負の世界で「たられば」は禁句だが、吉田が31分前後の普通のブレーキであればトップ通過だった。吉田が本来の力を発揮すれば箱根予選会ではトップ通過も見えてくる。前回の箱根予選会では12位で敗退し、19年ぶりに本戦出場を逃したが、チーム再建は順調に進んでいる。

 日体大はエース藤本珠輝(3年)が28分35秒73で日本人トップの全体7位と好走。全体的に大きなミスがなく、7位通過を果たした。

 きっちり伊勢切符を手にした5校は勝負強さがあり、手堅い。箱根切符も順当に手にすることが有力だ。昨季の全日本では3位でシードを獲得しながら、箱根では11位に終わり、シードを逃した明大も予選会では上位クラス。山本佑樹監督(43)は「予選会は決して油断できないが、チーム目標は本戦で上位で戦うことです」と意欲的に話す。この6校は突破が堅いだろう。

力走する駿河台大の30歳ランナー・今井
力走する駿河台大の30歳ランナー・今井

 今回の全日本選考会で存在感を発揮したのが駿河台大だ。日体大と28秒44差の次点8位で惜しくも3大駅伝通じての初出場を逃したが、30歳の学生ランナー今井隆生(4年)らを中心に勢いがある。ダークホース以上の存在で十分に突破圏内に入った。「夏合宿に向けてチームの士気は上がっている」と徳本一善監督(42)は充実の表情で話す。悲願の箱根初出場は近づいている。

 9位の国士舘大、10位の山梨学院大、11位の神奈川大はいくつかミスが重なり、全日本の出場を逃したが、箱根予選会の戦い方を熟知しており、出場圏内にいる。

 12位の大東大は収穫も課題もあった。第3組終了時点で5位と健闘していたが、最終組でケニア人留学生のピーター・ワンジル(1年)がチーム最下位の30分35秒38とブレーキして急降下した。2年連続で箱根予選会で落選した大東大は日本人選手が力をつけている一方、チーム初の留学生の力が未知数。今回、ワンジルはレース序盤に他校の留学生に果敢に挑み、中盤以降に失速した。箱根予選会ではワンジルのレースの進め方が鍵を握るだろう。

 城西大は見せ場なく13位で敗退。現状、箱根予選会ではぎりぎり圏内といったところだろう。

 15位の日大は、この2シーズンで3人目の指揮官となる小川聡監督(63)が就任。18位と大敗した昨季の箱根予選会からは状態が上向いているが、突破までは難しいか。17位の上武大は2年連続で箱根予選会で敗退。今季も上昇のきっかけをつかめていない。18位の専大は昨季、7年ぶりに箱根路に復活したが、今季は昨季の勢いがない。この3校はいずれも微妙な状況だ。

 全日本選考会は有効期間(20年7月1日~21年5月29日)の1万メートル公認記録の上位8選手の合計タイムで上位20校が出場できる。麗沢大は21番手、筑波大は22番手で参加できなかったが、両校はハーフマラソンで競う箱根予選会の方が強みを発揮するため、微妙な位置ながら通過の可能性を残す。筑波大の弘山勉監督(54)は「全日本選考会はユーチューブでチェックしました。通過した大学は強いが、それ以外の大学とは勝負になる。本戦出場を目指します」と前向きだった。

 18年11月から大学を挙げての本格的な強化を始めた立大は全日本選考会に初参戦し、16位と奮闘した。上武大、専大などを上回ったが、昨季の箱根予選会は28位と低迷しており、まだ、ハーフマラソンの距離には対応できていない。全日本選考会でそれぞれ19位、20位に終わった亜大、慶大は箱根予選会でも苦戦を免れないだろう。

 大学駅伝界には「夏を制する者が箱根を制する」という格言がある。夏合宿の出来、不出来によってチーム力は大きく変わる。現時点では箱根予選会突破が有力なチームもひとつ間違えれば足をすくわれるし、現時点では苦戦必至のチームも夏を越えて急成長することもある。「箱根駅伝予選会は何が起こるか分からない」。昨年、まさかの敗退を喫した中央学院大の川崎勇二監督(58)は実感を込めて話す。箱根への道を目指す全てのチームが、これから勝負の夏に向かう。(竹内達朗)

 ◇第98回箱根駅伝予選会 戦力予想(6月末時点)◇

 ◎有力 中央学院大、中大、明大、法大、拓大、日体大

 ○圏内 神奈川大、国士舘大、山梨学院大、駿河台大、大東大、城西大

 ▲微妙 筑波大、専大、麗沢大、上武大、日大

 △苦戦 立大、亜大、慶大、東農大、流通経大、武蔵野学院大、平成国際大、日本薬科大、育英大、関東学院大、明治学院大、桜美林大、東京経大

 ◆シード校展望…駒大中心 追う青学 早大 順大

 昨季、全日本大学駅伝と箱根駅伝の2冠に輝いた駒大が今季も大学駅伝界の中心にいる。日本選手権1万メートルで2、3位になった田沢廉(3年)、鈴木芽吹(2年)のダブルエースを軸に2冠メンバーの花尾恭輔(2年)らが脇を固める。さらに唐沢拓海(2年)ら新戦力も台頭した。

 駒大を追うのは前回箱根4位の青学大、同6位の早大、同7位の順大。流れに乗れば勝ち切る力を持つ。同2位の創価大は全日本関東選考会で14位と本戦出場を逃したが、前回箱根2区6位のフィリップ・ムルワ(3年)、同4区2位の嶋津雄大(4年)、同5区2位の三上雄太(4年)ら主軸は健在で、箱根で再び旋風を巻き起こす可能性もある。

 前回箱根5位の東海大はエースの石原翔太郎(2年)を中心に上位をうかがう。同3位の東洋大は5月の関東学生対校の長距離種目で入賞者なしと出遅れたが、持ち前の「駅伝力」で秋から巻き返しを図る。

第3組でワンツーフィニッシュした中央学院大の(左から)武川と小島
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