見上愛、演技志す契機となった“寺山修司イズム”で突き進む 20歳次世代ヒロインの女優道

スポーツ報知
力強い視線でカメラを見つめる見上愛

 2019年にデビューした女優・見上愛(20)が、今年引っ張りだこだ。上半期だけでドラマ3本、映画1本、CM5本に出演。下半期もダブル主演映画「衝動」や「プリテンターズ」(共に公開未定)の公開などを控えている。照明家や演出家を目指していた異色の経歴から次世代ヒロインに躍り出た二十歳の素顔に迫った。

 小顔に、満開の笑みが映えた。「取材なんて恐れ多いです」。またクシャクシャっと笑ったが、カメラの前では一変する。クールな視線、落ち着き払った動作から年相応のあどけなさまで、劇中の世界に入り込む演技には目を奪われる。

 「洋服やメイクが持つ力がすごくて。いざ撮影となると、勝手に表情が変わって。後で写真を見て、こういう顔をしていたんだって」

 天賦の才に、オファーは殺到している。今年上半期だけでドラマ3本やCM5本などに出演。大学生との“二足のわらじ”を履くが、「学業も仕事も、どちらにとっても息抜きになっていていい感じです」。

 中学2年の時、父から観劇に誘われ、軽い気持ちで、2・5次元の舞台を見た。正直、内容はよく分からなかった。それでも上演後の光景が忘れられない。「とにかくお客さんが楽しそうで。なんか面白そうだなって」。胸がうずいた。当時はハンドボール部に所属して趣味でバンドにも興じていたが、「特に夢はありませんでした」。勉強も運動もできる6歳上の兄を見て焦りもあった。「私も早くやりたいことを見つけて、その道を進みたい」

 高校に進学すると、演劇部の門を叩いた。初日のオーディション。詩人・寺山修司の舞台「犬神」を演じたが、「訳が分からなかった」。悔しくて同氏の作品を調べ上げた。すぐに虜(とりこ)になった。「本当に面白くて。切り取り方や、人間の本質的な部分を描いていて」。照明家や演出家など裏方を目指していたが、女優への契機となったのも寺山の言葉だ。「『人間は、多面的でいろいろあるもの』と話していらして。演技しつつ、将来的に演出もできたらと思います」

 デビューからまだ2年だが、TBS系ドラマ「ガールガンレディ」ではプラモデルの銃でバトルする役、NHKドラマ「きれいのくに」では整形を決断する女子高生になりきった。今年公開予定のダブル主演映画「衝動」(土井笑生監督)では失語症の役を演じた。どれも一筋縄ではいかない役だが、作品ごとに全く違う表情や姿で溶け込んだ。

 定評のある演技力の根幹には、“作り手”としての自負がある。「演じる役が、ストーリー全体やシーンでどういう役割を果たすべきか。役の気持ちや心情を優先して考える方もいると思いますが、私はお話全体のことを考える時間が長い。もしかしたら、これが役立っているかもしれませんね」

 まだ二十歳。寺山の言葉を頼りとし、「どんどん、いろいろな役や物事に挑戦したい」と言う。「揺るがない部分も必要ですけど、時代は変化していくので、ある程度、柔軟な部分も持ち合わせて。将来のプランを立てても、そういかないとつらくなるので、具体的な目標はないですが、『こういう子いるよね』という女優さんになりたい。カリスマ性は自分にない気がするので、みんなに共感してもらえるような。顔も本当にちょうど良くて、メイクとか衣装できれいに見えることもあれば、なんか普通の子だなって」と語った。「カリスマ性がない」「顔がちょうど良い」と自ら言ってのけるからこそ、演じる幅は無限に広がる。

 取材後。カメラマンの声に耳を傾け、シャッターの度に表情を変えた。撮影を終えると、「昨日、蚊に刺されちゃって」。黒いズボンの裾をまくり、赤く腫れたふくらはぎを見せながら、また屈託ない笑顔を見せた。クルクルと変わる表情に、芯が通った信念と言葉。二十歳の女優道は大きく拓(ひら)けている。(田中 雄己)

 ◆見上 愛(みかみ・あい) 2000年10月26日、東京都出身。20歳。19年に女優活動をスタート。主な出演作品にABEMAドラマ「箱庭のレミング」、映画「キャラクター」、NHKドラマ「きれいのくに」など。CMはリクルート「SUUMO 引っ越し見積もり」、JR東日本「行くぜ、東北。」など。趣味は観劇、洋服作り、カメラ。身長161・5センチ。

芸能

宝塚歌劇特集
NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請
×