【夏競馬の名場面】06年サマースプリントシリーズ初代王者に輝くシーイズトウショウのCBC賞

スポーツ報知
2006年のCBC賞を制したシーイズトウショウ(中央)

 「夏休み」。いい響きである。子供から大人まで、この言葉を聞いて、喜ばない人はごくわずかではないか。競馬の世界でも夏競馬というカテゴリーは、のんびり感がある。春のG1ロードを沸かせた一線級は、秋へ向けて休養に入る。至極当然である。「夏はお休みする」という競馬ファンも少なくない。何を隠そう、私も担当になる前はそうだった。

 JRAは、なんとか夏競馬を盛り上げたい狙いで、2006年から「サマーシリーズ」を創設した。「スプリントシリーズ」と「2000シリーズ」。各シリーズの総合優勝馬の関係者には5000万円が贈られた。ビッグボーナスである。超一流馬が無理をしてまで参加することはなかったが、狙いは的中した。実力馬に選択肢が広がったのである。

 そのスプリントシリーズの初代王者に輝いたのは、シーイズトウショウだった。故郷は北海道静内のトウショウ牧場。好敵手のテンポイントと昭和50年代前半の競馬を引っ張った「天馬」トウショウボーイを生み出した名門の期待を背負っていた。おばに1991年の桜花賞馬シスタートウショウ、おじに北九州記念の勝ち馬トウショウオリオン。父サクラバクシンオーとの配合は、短距離戦線での活躍が約束されていた。

 2002年、デビュー2戦目の小倉(8月)で新馬戦を勝ち上がったが、意外にも2勝目が遠かった。翌2003年の桜花賞でスティルインラブの2着に入るなど、レベルの高い走りをみせながら、あと一歩が遠かった。マイルにも対応する力があり、一生に一度しかないクラシック、2400メートルのオークスにも挑戦した。そのぶん、遠回りすることになった。2勝目は、3歳12月のCBC賞。当時は暮れの開催だった。

 古馬になってスプリント路線にターゲットを絞ると、2004、05年と函館スプリントSを連覇。息長く安定した力を発揮していたシーイズトウショウが、もっとも充実していたのが2006年だった。G1の高松宮記念で3着に入ると、その年から6月開催のハンデ戦になっていたCBC賞で2度目の勝利。雨の影響で発表は稍重。6歳牝馬には厳しい57キロを背負い、2着に1馬身差をつけた。「馬場が悪かったのでどうかと思ったが、外枠がよかった。勝つ時はうまくいくもの」管理していた鶴留明雄調教師が手放しで喜びを表した。

 ただし、である。当時、CBC賞はサマーシリーズに入っていなかった。そのことが惜しまれる。函館SS、キーンランドCで2着と惜敗。その時点でシリーズ優勝するには、残されたセントウルSに出走し、勝利が義務づけられた。結果的に中1週で臨んだセントウルSを快勝し、5度目の重賞制覇。記念すべき第1回のシリーズ優勝を飾ったが、3週後のG1のスプリンターズSは8着だった。

(編集委員・吉田 哲也)

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