【大学野球】巨人・片岡治大コーチを弟に持つ日大・片岡昭吾監督が成し遂げた7季ぶり1部復帰の舞台裏

1部復帰を決めた日大の片岡監督(中央奥)はナインの手で宙に舞った
1部復帰を決めた日大の片岡監督(中央奥)はナインの手で宙に舞った
東都大学1、2部入れ替え戦結果
東都大学1、2部入れ替え戦結果
日大の今季成績
日大の今季成績

◆東都大学野球春季1、2部入れ替え戦▽東洋大1―2日大(21日・神宮)▽日大3―2立正大(22日・神宮)

 史上初めて3校による1試合総当たり制で行われた東都大学野球春季1、2部入れ替え戦は、2部1位の日大が2連勝で17年秋以来、7季ぶりの1部復帰を決めた。母校を神宮の舞台に引き上げた片岡昭吾監督(43)は今年1月にコーチから昇格したばかり。就任1季目の青年監督が、どのように死闘を勝ち抜いたのか。巨人・片岡治大3軍野手総合コーチ(38)を弟に持つ指揮官に迫った。

 指揮官への信頼の厚さを表すシーンだった。東洋大に続いて立正大を撃破し、1部復帰を決めた日大ナイン。一塁側応援席に足を運んで観客にあいさつすると、誰からともなくその名を呼び始めた。「カッタオカ、カッタオカ!」。片岡監督が歩み寄ると、すぐさま胴上げが開始。フェンスを挟んで控え部員も一緒になってバンザイを繰り返し、喜びを分かち合った。

 戦国東都の象徴とも言える入れ替え戦。しかも、史上初の三つどもえ。この死闘に臨む上で、指揮官が行った対策と準備がことごとく当たった。5月26日に2部優勝を決めると、すぐに千葉・習志野市内の日大グラウンドのブルペンのうち1か所を硬く加工した。日大が神宮で戦うのは、18年春の入れ替え戦以来。今年からかなり硬くなった神宮のマウンド対策だった。

 開幕直前には、神宮を借りて3時間の全体練習を行った。「ウン十万」の臨時出費となったが、エースの152キロ右腕・赤星優志(4年=日大鶴ケ丘)はもちろん、10人ほどの1軍の全投手が実際にマウンドからピッチング。その硬さはもちろん、「高さや風景に慣れさせたかった」。2戦で計3失点という投手陣の奮闘は、まさに神宮練習の成果だ。

 神宮対策だけじゃない。リーグ戦終了後の約3週間の練習では、走塁練習をメインにしたシート打撃やシートノックを多く行った。「実戦に近い形で、ランナーに状況判断を養ってもらおうと思った」と指揮官。すると、立正大戦の延長13回1死三塁で、ギャンブルスタートのサインに三塁走者が最高のスタート。遊ゴロで決勝点をもぎ取った。

 この好走塁には、参謀の存在も欠かせない。OBで元巨人の青山誠コーチ(29)だ。今年3月に就任すると、すぐに三塁べースコーチとしてナインに元プロの知識を注入した。指揮官は「技術的なことを全般に、いろんな細かいところに目が行き届く。非常によくやってくれたし、これからもやってくれると思います」と全幅の信頼を寄せている。

 昨秋の新チームスタート時に掲げた目標は「神宮大会優勝」。春に2部優勝&1部復帰、秋に1部優勝&神宮大会制覇という意味だ。「とりあえず2つ。ここから先、どうやって勝っていくかを追求していきたい」。JR東日本時代は選手、コーチとして名将・堀井哲也監督(59)=現慶大監督=の薫陶を受けた。大一番で勝負師の片りんを見せた指揮官が、名門を完全復活に導いていく。

(片岡泰彦)

【VTR】東洋大1―2日大(21日・神宮)

1戦目・東洋大1―2日大(21日・神宮)
1戦目・東洋大1―2日大(21日・神宮)

 東洋大は初回、日大の先発・赤星の立ち上がりを攻め、内野安打3本で1点を先取。日大は2回、林の左越え2ランで逆転すると、赤星が1点のリードを守り切り、6安打1失点で無四球完投勝ち。東洋大の先発・細野は2失点完投も1球の失投に泣いた。

 東洋大・杉本泰彦監督(61)「2勝するしかないという明確な目標のあった戦い。リーグ戦のあと時間もあり、(赤星対策の)指示をはっきりと出してきたが、それをさせてもらえなかった。こちらの力不足もあるが、素晴らしいピッチングをされた」

【VTR】日大3―2立正大(22日・神宮)

2戦目・日大3―2立正大(22日・神宮)
2戦目・日大3―2立正大(22日・神宮)

 立正大は2回、比留間の左中間2ランで先制。日大は4回に林の左犠飛で1点差に迫ると、8回2死二塁から代打・若宮の右越え三塁打で同点に。延長13回1死三塁から林の遊ゴロの間に三走が生還し、決勝点。立正大は追加点を取れなかったのが響いた。

 立正大・坂田精二郎監督(46)「やることはやったつもりだが、日大さんの方が技術も気持ちも上回っていたかなと思う。今の4年生は1年の時(秋季リーグ)に優勝して、つらい思いをしていない。チームとしても指導者としても、甘さがあったのかもしれない」

◆今季の東都大学リーグ

 従来は1部から6、6、6、3校の4部編成でリーグ戦を行っているが、昨秋はコロナ禍の影響で入れ替え戦を開催せず2部以下の優勝校が自動昇格。今春は1931年の連盟創設以来初めて1部を7校で開催するなど7、6、6、2校で行われた。各入れ替え戦は上部の下位2校と下部の1位校による三つどもえで行い、1校だけが昇格もしくは残留。今秋からは従来の6、6、6、3校に戻る。

 <片岡昭吾>(かたおか・しょうご)1978年1月23日、千葉市生まれ。43歳。栃木・宇都宮学園では「1番・中堅」で3年夏に甲子園出場。日大では3年春に外野手でベストナイン。JR東日本では9年間プレーし、引退後は同社で7年間コーチ。2011年の都市対抗野球優勝を経験した。18年4月から日大コーチとなり、今年1月1日付で監督就任。巨人・片岡治大3軍野手総合コーチは5歳下の弟。

 <青山誠>(あおやま・まこと)1991年11月1日、神戸市生まれ。29歳。育英では3年春の県大会優勝が最高成績で甲子園出場なし。日大を経て2013年の育成ドラフト1位で巨人に入団。17年7月に支配下選手登録されたが、1軍出場がないまま18年限りで退団。19年は社会人・JX―ENEOS(現ENEOS)でプレーし、同年限りで現役を引退。競輪選手挑戦を経て今年3月から日大コーチ。

1部復帰を決めた日大の片岡監督(中央奥)はナインの手で宙に舞った
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