山県亮太、決勝へ「思い出に残る日になればいい」3大会連続の五輪へ準決省エネ突破

男子100メートル準決勝1組、10秒16で決勝に進んだ山県亮太(左)(カメラ・竜田 卓)
男子100メートル準決勝1組、10秒16で決勝に進んだ山県亮太(左)(カメラ・竜田 卓)
1位で決勝に進んだ山県亮太(中央)
1位で決勝に進んだ山県亮太(中央)
準決勝1組でゴールする(右から)山県、柳田、サニブラウンら
準決勝1組でゴールする(右から)山県、柳田、サニブラウンら

◆陸上 日本選手権 第1日(24日、大阪・ヤンマースタジアム長居)

 男子100メートル準決勝が行われ、9秒95の日本記録を持つ山県亮太(29)=セイコー=が全体トップとなる10秒16(無風)の1組1着で通過。同組で10秒30の3着だったサニブラウン・ハキーム(22)=タンブルウィードTC=もタイム順上位で拾われ、9秒台スプリンター4人がそろって25日の決勝に駒を進めた。最大3枠の五輪切符を争う一発勝負は、初の9秒台決着も期待される。

 山県の形だった。序盤30メートルで一気に先頭へ。精密機械のように正確な走りを続け、涼しい表情で駆け抜けた。同日の予選も10秒27の1組トップ。「(予選は)体の浮き上がりが早くて、スムーズに脚が回せなかった。準決勝ではスタートで、体の出方の角度を変えていい変化があったと思う」。今月6日に布勢スプリントで9秒95の日本記録を出して、まだ2週間余り。「思ったよりも、疲労が出たな」と息をついた。

 2レーン右隣には、前日本記録保持者のサニブラウン。「スケールの大きい選手。ポテンシャル、潜在能力を感じている。自分の走りを崩さないように意識した」と、持ち味の中盤までの加速力で一気に置き去りにした。3着だった相手とは0秒14、距離にして1メートル以上の大差をつけて完勝。2着に入った高校3年生の有望株・柳田にも、0秒06差で危なげなく勝ち切り「今日(準決勝)の手応えを、明日(決勝)につなげたい」とうなずいた。

 プロ野球選手を目指していた少年は、小学4年から陸上の道へ入った。広島の修道中・高で指導した松沢慶久さん(53)は「体は小さかったけど、スムーズなスタート、加速、中間疾走はピカイチだった」と振り返る。全国でも有数の進学校。高校3年時は、文系で東大や京大の合格を目指すクラスに在籍。慶大もスポーツ推薦ではなく、AO入試で進学した。60分授業を毎日6コマこなし、練習開始は16時半から。「(中学、高校では)やれる時間は限られているから、自然と(先輩や同級生、後輩を)見る目が養われていく。6年間、先輩や後輩の走りを見られたのはプラス」。周囲を観察して刺激や成長のヒントを得つつ、重ねた努力で今の地位を築いた。

 3大会連続の五輪へは、決勝の3位以内で内定する。89年ぶりの100メートルファイナリスト、さらに16年リオ五輪で金メダルにあと一歩まで迫った400メートルリレー。真夏の東京には、山県が成し遂げたい夢が詰まっている。12年ロンドンは日本選手権3位、16年リオは2位で五輪へと向かった。優勝で東京切符を手にしてこそ、海外の強豪と全力で渡り合う自信にもなる。「全てが決まるレース。とにかく悔いがないように集中して、思い出に残る日になればいい」。わずか10秒で、人生は変わる。望む未来を切り開く力が、山県にはある。(細野 友司)

男子100メートル準決勝1組、10秒16で決勝に進んだ山県亮太(左)(カメラ・竜田 卓)
1位で決勝に進んだ山県亮太(中央)
準決勝1組でゴールする(右から)山県、柳田、サニブラウンら
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