【ヒルマニア】大谷翔平HR競争の会場は空気抵抗少ないデンバー…23年前のグリフィーの歓喜を味わえるか

スポーツ報知
1998年のデンバーで行われたオールスター戦のペナント

 最近ではオールスター戦以上に盛り上がる前夜祭のメジャーのホームランダービー(以降HR競争)。今年は標高1600メートルの高地にあって空気抵抗の少ないデンバーのクアーズ・フィールドで開催。日本人選手初の出場を決めたエンゼルスの大谷翔平投手が何本、そしてどれだけの飛距離のアーチを放ってくれるのか日本だけでなく米国のファンも大注目だ。23年前当地で開催したHR競争を取材した「ヒルマニア」ことメジャー担当43年目の蛭間豊章記者が、当時の感激、そして大谷への期待を込めた。

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 大谷がクアーズ・フィールドで足を踏み入れるのは初めてではない。3年前の5月にインターリーグで2試合、ともに代打で出場し一塁ゴロと中前安打に終わった。しかし、打撃練習では驚愕のパワーを見せつけている。初日のフリー打撃で36スイングで15本を外野スタンドに叩き込んだが、うち4本は右翼三階席にぶち込んだ。その再現があれば並み居るスラッガーとファンを熱狂させるホームランショーを見せてくれるはずだ。

 近年のHR競争は毎年のように熱狂を呼んでいるが、私が現場で見たから言うわけではないが、23年前のクアーズ・フィールドでの戦いは今でも目に焼き付いている。同年はペナントレースでもマグワイア(カージナルス)とソーサ(カブス)が争って全米を驚喜させたシーズンだ。ソーサは故障もあって出場を辞退したが、レギュラーシーズンで37本打っていたマグワイアとともに、35本のグリフィーがいた。しかし、後者は遠征の疲れがあると出場辞退を表明していた。

 そのため、練習中や打撃練習でも5万人が入ったスタンドからブーイングの嵐だった。ところがHR競争の出場選手に急遽名前がアナウンスされると、場内からはブーイングと歓声が入り交じって騒然となった。

 当時は10人が出場。ルールは10回の凡打(本塁打以外)まで打ち続けることが出来、第1ラウンドで上位4人が第2ラウンドに、上位2人が決勝進出。決勝は5回の凡打まで打てるという取り決めだった。第1ラウンドで本命のマグワイアが脱落という番狂わせがあった。競争前の打撃練習では同球場ではかつてない場外アーチを放ったが、本番では4本。それでも中堅越えに全打者最長の510フィート(約155メートル)を放ってファンの度肝を抜いた。

 第1ラウンド、いつものようにキャップを後ろ前にかぶったグリフィーは9番目に登場したが最初の5スイングで1本だけ。スタンドから再びブーイングが嵐のように襲ってきた。それを歓声に変えるのに時間はかからなかった。直後の12スイングで7本をスタンドに放り込むと観衆のスタンディングオベーションが始まった。グリフィーは第2ラウンドもトーミとともに8本放って決勝に勝ち上がった。

 この年からESPNで全米中継されるようになったため、CMタイムもあった。場内には1960年代のスラッガー、マントル、メイズ、アーロンら、かつてオフに行われたHR競争の映像が流れてファンを楽しませてくれた。

 そして迎えた決勝。誰もが全米で人気のグリフィーを応援していた。トーミが2本に終わったのに対し。2アウトを残して3本目の“決勝アーチ”を放った。その瞬間、スタジアムの多くのファンが席を立って祝福。右翼臨時記者席に座っていた私も同じように席を立って拍手を送っていた。グリフィーは、優勝を決めると帽子とバッティンググローブをスタンドに投げ込んでファンに感謝の気持ちを表現した。

 記者会見で出場を決意した理由を「(打撃練習時のブーイングが)ショックだった。球宴は(ファンを)楽しませる場所。ブーイングを受ける場所ではない。それに若い選手にも尻を叩かれたからね」といつものような笑顔を見せた背番号24。改めてスーパースターぶりを見せ付けてくれた。(ベースボールアナリスト・蛭間豊章)

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