『バーチャファイターeスポーツ』"無料配信"好評 2028年ロス五輪目指す

VF再始動の手応えを語る青木盛治チーフプロデューサー
VF再始動の手応えを語る青木盛治チーフプロデューサー
『バーチャファイターeスポーツ』のゲーム画面
『バーチャファイターeスポーツ』のゲーム画面

 かつて社会現象にもなった対戦格闘ゲームが11年ぶりに再始動し、大きな話題を呼んでいる。セガはプレイステーション4用ソフト『バーチャファイターeスポーツ』の“無料配信”を6月1日からスタート(PS Plus会員またはPS Now対象)。異例の大盤振る舞いの意図は、そしてeスポーツとして描く未来像とは。チーフプロデューサーの青木盛治さん(47)に聞いた。(平柳 洋希)

■青木CPに聞く

 5月27日に衝撃の“無料配信”発表、そして全世界同日での配信スタートから2週間あまりが過ぎた。伝説の格闘ゲーム『バーチャファイター(VF)』の復活に、ゲーマーたちは大いに沸き立った。青木チーフプロデューサーも手応えを口にする。

 「想像をはるかに超える全世界の多くの皆様にプレーしていただいていまして、びっくりしています」

 アジア、北米、欧州、南米、アフリカ。今この瞬間も世界中のプレーヤーがオンライン対戦で技を競っている。

 「刷新した映像やeスポーツシーンに特化したモードも好評ですが、遠い国のプレーヤーと対戦しても遅延なく遊べることも高い評価を得ています」

 初代VFがアーケードで稼働したのは1993年。立体的なキャラクターの滑らかな動きに、ゲーマーたちは魅せられた。翌年『VF2』がリリースされると人気は爆発。ゲームセンターの対戦台に長蛇の列ができた。

 「私は当時高校生でしたが、ゲーセンの異様な盛り上がりは感じていました。その頃はまさか自分が開発に関わるようになろうとは、全く思っていませんでした(笑い)」

 続く96年の『VF3』もヒット。しかし2006年の『VF5』の頃にはブームも落ち着き、10年の『VF5ファイナルショーダウン』以降は新作が発表されていなかった。

 「家庭用ゲーム機がアーケードゲームのスペックと同等になり、最終的には上回ってきた。ネット環境も発達し、わざわざゲーセンまで行って対戦ゲームをやらなくなってしまった」

■セガ創立60周年転機

 新作の話も浮かんでは消え、時間だけが過ぎた。転機となったのは19年初頭だった。

 「21年のセガ創立60周年プロジェクトとして、VFをeスポーツとして再始動させようと。アーケード版の『ぷよぷよeスポーツ』を担当していた私が先頭に立つことになりました」

 完全新作ではなく、最終作の『VF5ファイナルショーダウン』をリメイクする形を選んだ。家庭用ゲームにノウハウのある『龍が如く』を開発したスタジオとタッグを組み、グラフィックを完全リニューアル。セガの持てる力を結集して挑んだ。

 「『VF5ファイナルショーダウン』はとても完成度の高い作品。一番バランスの良い作品をベースにすることで、プレーハードルを下げたかったんです」

 世界中の多くの人々にVFを届けたい。VFのブームを知らない若い世代にも遊んでもらいたい。その思いはプロジェクト発足の時から一貫していた。

 「家庭用を無料配信としたのもそうした思いから。たくさんの人に遊んでいただけて、無料にしてよかったと思っています。60周年だから60円にしようか、なんて話もありましたが(笑い)」

 開発は困難を極めた。コンセプトが固まり、実際に着手したのが20年2月。直後にコロナ禍が直撃。在宅勤務を強いられた。

 「これまで経験したことのない、在宅でのゲーム開発。想定しない出来事の連続でしたね。米国のスタッフとのリモート会議は時差の関係で(日本時間の)早朝から。それが連日続きました」

 しかし、時間は待ってくれない。タイムリミットは60周年記念日である21年6月3日。急ピッチで開発を進め、同1日のリリースに何とか間に合わせた。

 「ホントにギリギリになってしまいましたが(笑い)、最高の作品に仕上がったと思います」

■プロ化&世界大会視野

 次はeスポーツとしての大会運営も待っている。今年を「シーズン0」として7月には「プレシーズンマッチ」、8月からは「チャレンジカップ」をオンラインで開催。将来的にはプロスポーツ化を目指す。

 「本作をきっかけにVFを知ってもらい、世界中のプレーヤーとVFの未来をつくっていきたい。オフライン大会が可能になったら、世界各地を巡るツアーもやってみたいですね」

 28年のロス五輪ではeスポーツが正式競技となることが検討されている。ボクシングや柔道が競技として存在する以上、世界的な人気を誇る格闘ゲームのVFが種目のひとつに選ばれる可能性もゼロではない。

 「格闘技を観戦する感覚で、勝敗がわかりやすく、見ていても面白いのがVFの魅力。機会があるならぜひ参加したいです!」

 全世界を巻き込んで、あの熱狂を再び。ファイナルショーダウン(最終決戦)は終わらない。

▼VF6「いつかチャレンジ」

 〇…今回はリメイク作だが、完全新作の「VF6」の可能性はあるのだろうか。「いつかはチャレンジしたいと思っています」と青木さん。「でも正直なところ、遊ぶ側に回りたいという気持ちもあります。開発は苦労が多いので(笑い)」

 ◆バーチャファイター 人間の動きと格闘技のアクションをCGで表現した、世界初の3D対戦格闘ゲーム。優れたソフトウェアとして高く評価され、米スミソニアン博物館にも実機と資料が収蔵されている。

 ◆青木 盛治(あおき・せいじ)1973年10月18日、香川県高松市生まれ。47歳。97年にCSK入社。吸収合併を経てセガへ。『ボーダーブレイク』『ぷよぷよeスポーツ』(アーケード版)でプロデューサーを務める。VFには『4』から参加。お気に入りのVFキャラクターは酔拳使いの舜帝。「お酒を飲むのが好きなので(笑い)」

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