元貴ノ富士のスダリオ剛、RIZIN初黒星で思い出してほしいあのプロレスラーの遠吠え

スダリオ剛(C)RIZIN FF
スダリオ剛(C)RIZIN FF

 総合格闘技「RIZIN.28」が東京ドームに9731人の観衆を集めて13日に開催された。来年3月にボクシングに転向するキックボクシングの“神童”那須川天心が1対3の変則マッチ(3回戦)を敢行。メインイベントでは朝倉未来が、まさかの失神負けを喫した波乱の大会となった

 東京ドームで総合格闘技大会が行われるのは2003年11月9日の「PRIDE」以来、18年ぶりのこと。この時は「ミドル級GP決勝戦」がメインイベントでヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)が優勝したが、準決勝でシウバに敗れたものの、吉田秀彦(バルセロナ五輪柔道金メダリスト)が大会前の主役だった。

 ドーム大会の集客と地上波中継には、他競技で名を上げた日本人が不可欠。今大会のその「枠」は、旧貴乃花部屋の元十両・貴ノ富士ことスダリオ剛(24)=フリー=だった。スダリオは、日本人では層の薄いヘビー級で、昨年9月のデビューから、ディラン・ジェイムス、ミノワマン、宮本和志とプロレスラーを相手に3連勝し「ちゃんとした相手とやらせてください」と要望。

 そこで用意されたのが「100キロ超級日本最強」と呼ばれる柔術のシビサイ頌真(30)=パラエストラ東京/巌流島=との本格的MMA戦(120キロ契約)。スタンドでローキック、パンチを打ち合い、組まれても相撲の粘り腰で倒されない。だが、ともにスタミナが切れてきた3回にタックルでテイクダウンを奪われた。そして、首に右腕を巻き付けられるリアネイキッドチョーク(裸絞め)で無念のタップアウト。スダリオは序盤のカーフキックで左ふくらはぎを負傷し、試合後はインタビュールームに現れず。

 テニスの全仏オープンで記者会見拒否を表明し、騒動の末、大会を棄権した大坂なおみの一件があったばかりだけに、ネットではいろんな憶測が飛んだが、14日に自身のYouTubeで「激痛で会見どころじゃなかったので病院に直行しました。肉離れで歩けない状態です」と明かした。

 だが、こんな時こそ、あの男の言葉を思い出そう。3月21日にスダリオにわずか8秒でKOされたプロレスラーの宮本和志は、逃げ出したいはずの試合後に臆面なくインタビュールームにやって来て、ビーズソファにどっしり腰を下ろしてこう言った。「自分はプロレスラーなので、やられてから始まる、やられてもやられても立ち上がるのがプロレスラーだと思っています。自分は一人『高田モンスター軍』だと思っています。心は今でもモンスター軍なので、モンスターを集めて『新生・高田モンスター軍』を復活させたいと思います。本当は勝ってリング上で言いたかったですけどね」

 秒殺されてこの演説。ディス・イズ・プロレスラーだ。その後、「宮本和志反省会」というトークショーまで企画。緊急事態宣言で延期になったが、たくましいセルフプロデュース。スダリオはプロレスラーではないが、プロレスラーを食ってのし上がっただけに、その生き様も血肉にしてこそプロの格闘家だ。

 YouTubeでは「東京ドームという舞台に(デビュー)4戦目で出させてもらって光栄。応援してもらえるようなファイターになります」とも語った。シビサイは試合後に「殴っても前に出てくるし、倒れないなと思った。最後、自分の得意な形になれたので」とコメントし、スダリオの強さを認めている。2人で切磋琢磨(せっさたくま)して、日本のヘビー級を「ちゃんとした」戦場にしてほしい。(酒井 隆之)

コラムでHo!とは?
 スポーツ報知のwebサイト限定コラムです。最前線で取材する記者が、紙面では書き切れなかった裏話や、今話題となっている旬な出来事を深く掘り下げてお届けします。皆さんを「ほーっ!」とうならせるようなコラムを目指して日々配信しますので、どうぞお楽しみください。

格闘技

NEWS読売・報知 モバイルGIANTS 個人向け写真販売 ボーイズリーグ写真 法人向け紙面・写真使用申請