スポーツジャーナリストでパーソナルコーチの中西哲生氏(51)が今月14日、自らがMCを務めるYouTubeの番組「哲 GAKU」に、元日本代表MF中村憲剛氏(40)をゲストに迎え、90分にわたってサッカー対談を行った。
同番組は、異業種や日本文化から着想を得て独自に構築したサッカー技術理論「中西メソッド」をアップデートする連続講座で、毎月14日にオンラインで開催。Ginza Sony Park公式YouTubeチャンネルにて配信している。
共に現役時代は川崎でプレーし、現在は中西氏は川崎のクラブ特命大使、中村氏はFRO(フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー)を務めている。中村氏が14番を背負う時に、かつてつけていた中西氏に許可をもらいにいったエピソードや、フロンターレが川崎市民に認知されるまでの努力など、思い出話に花が咲いた。また中村氏が、日本代表MF守田英正やU―24日本代表MF田中碧らボランチの選手にどのようにアドバイスをして育てていったのかなど、フロンターレにまつわる話も披露した。
また2010年に日本代表DF長友佑都からはじまり、現在は元なでしこジャパンFW永里優季、日本代表MF久保建英、Rマドリードの下部組織に所属する中井卓大などのパーソナルコーチを務める中西氏の技術理論についても意見をかわした。2年前には、中西氏と当時16歳だった中井のトレーニングに中村氏が参加。3人でトライアングルのパス練習をした時に、中村氏が通常の試合と同じぐらいのスピードのパスを出した際に中井がピタッと止めたという。中村氏は「衝撃でした。でも彼は日常からそのスピードに慣れているんだと思いましたね。日本人だからできないではなく、環境なんだと思いました。日常の当たり前のパススピードの基準を上げないといけないなと。彼よりも僕が収穫になりました」と当時を振り返った。
対談を終えた中西氏は「公の場で2人でこれだけサッカーの話をするのは初めてですね。彼も日本サッカーの進化に貢献している人間だと思いますし、僕も少しでも貢献できればと思って、色んなことを日々やっている。そういうことが伝わった上で、みなさんが楽しい時間を過ごせればいいかなと思いながらやっていました」と振り返った。
また自らがパーソナルコーチを務める久保建英の進化についても言及。ヘタフェではホーム最終戦のレバンテ戦でチームの残留を決めるゴールをマーク。6月のU―24日本代表では、5日のU―24ガーナ戦、12日のジャマイカ戦と2試合連続ゴールを挙げた。
「本当にあんなに苦しいシーズンを送ってきた中でも、1度も腐らずに、どんな状況でもポジティブにとらえて自分が成長して糧にしていくんだという決意と熱意を感じていました。貪欲にどんどん学んでいく姿勢はいつも見せてくれていますし、チームで試合に出られない状況でもやってきたからこそ、シーズン終盤にすごくクオリティーの高いゴールにつながっている。色んなところで認められている選手なのに、愚直に丁寧にやり続けられるのは、単純にすごいなと。そんな彼の進化につながるメニューを出せるかが僕の戦い。応えられるように準備をしていきたい」と目を細めた。