金メダル候補BMX中村輪夢の強さの秘密 トリックの種類と量と王者の執念

トリックを決める中村輪夢
トリックを決める中村輪夢
中村輪夢
中村輪夢

 ストリート文化発祥の自転車BMXフリースタイル・パークは、東京五輪で新採用された都市型スポーツだ。小ぶりなBMXにまたがってセクションを乗り越え、空中での技の美しさなどを競う。相対的な視点も求められる特殊な採点競技の魅力や、男子代表で金メダル候補に挙がる中村輪夢(19)=ウイングアーク1st=の強さの秘密について、日本人で唯一、国際ライセンスを持つ稲葉充秋ジャッジ(36)が語った。(取材・構成=太田 涼)

 飛ぶ、回る、走る。空中で何をどうしているのか分からないほど選手の動きは素早く、華麗だ。新種目採用で競技人口も増えた。

 稲葉ジャッジ「大まかな採点基準はありますが、『この技は何点』みたいなものはありません。だからこそ個性というか、選手の人間性みたいなものもライディングに表れる。ジャッジは木を見るのではなく、一歩引いて冷静に森を見るイメージですね」

 国際自転車連盟が定める規則には採点基準について難易度など12項目がある。その上で「これらの項目にとどまらない全体の印象で判断」とも明記。ジャッジは大会当日、選手と言葉を交わすことが禁じられ、国際大会では入り口やトイレも別。「どうしてその点数になったのか」など具体的に話していけないなど、自由裁量ながらルールは厳格だ。その中で中村が高得点を出し続ける秘密はどこか。

 稲葉ジャッジ「一番は、トリック(技)の種類が半端ないこと。引き出しの数ですね。2回の試技でも全く異なるルーチンを組むのは普通できません。他のライダーが試技中に休むような場面でも輪夢君は飛ぶ。技数そのものが多く、高得点につながりやすいような印象です」

 中村は独自の大技はほぼ持たず、基本技の組み合わせと数で戦う。ジャンプ力を生かし、空中で3~4個のトリックをコンボ技として1分間出し続ける。初代王者に最も近い19歳の持ち味は技術と多彩さにある。

 稲葉ジャッジ「こちらが錯覚するほど、難しい技を簡単に見せる。ジャッジが人間であることも加味し、伝わりやすいライディングをしているように感じる。『この技をやらないとだめ』みたいなこだわりではなく、勝つための執念が輪夢君を王者たらしめていると思います」

 ◆中村 輪夢(なかむら・りむ)2002年2月9日、京都市生まれ。19歳。3歳で競技を始め、5歳で大会初出場。中学生でプロ転向し、3年時の16年に強豪が集う大会「Gショックタフネス」で優勝。19年W杯中国で日本男子初優勝、同年度総合優勝。同年UCI年間ランキングで日本男子初の1位。168センチ、63キロ。家族は両親と姉。

◆BMXフリースタイル・パークの主なトリック

 ▼フリップ 空中での縦回転技。進行方向に対して前方への「フロント―」、後方への「バック―」があり、2回転以上する場合も。

 ▼バースピン 空中でハンドルを回転させる技。1回転させる場合から、右→左→右など複数回転かつ左右の組み合わせなど自由度が高い。

 ▼テールウィップ 空中で車体のみを横回転させる。1回転なら「360―」、2回転以降は「ダブル―」「トリプル―」と呼ばれる。

 ▼360 空中で車体ごと横回転する。半回転は「180」、2回転は「720」。

 ▼ノーハンド 空中で両手をハンドルから離し、上へ手を伸ばす。両足で車体を挟みつつ行う。

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