バレーボール協会は嶋岡会長続投でいいのか

日本バレーボール協会・嶋岡健治会長
日本バレーボール協会・嶋岡健治会長

 日本バレーボール協会は17日の評議員会で、新理事を選出する。3期目を目指す嶋岡健治会長(72)に対し、関係者から厳しい声が上がっている。これまで、2期(4年)務め、日本バレーボール機構(Vリーグ)会長も兼務してきたが、目立った実績を示すことができていないどころか、選手の人生を狂わせかねないミスも犯している。

 それは、ビーチバレーの国際大会へのエントリーミスだ。20年、出場選手の変更申請を期日までに行わなかったという単純ミスだった。さらに、選手側の訴えがなければ、問題は表面化しなかったと考えられ、隠蔽したととられてもおかしくなかった。東京五輪出場へのポイントがかかっており、出場できなかった選手たちの心中を思うと、いたたまれない。担当役員の処分は配置転換も行われず、厳重注意などで軽い印象を受けた。

 毎年のように赤字予算を計上している。20年度の決算は、2億900万円の黒字となったが、これは、コロナ禍により、対外試合や国際大会が軒並み中止となり、男女日本代表の遠征、合宿費など強化費が使われなかった皮肉な結果だ。

 あるVリーグ関係者は「日本協会の大きな収入源は、毎年秋に日本で開催されていた世界大会。それが、今後はほとんどなくなります」。これまで、国際バレーボール連盟(FIVB)主催大会として、五輪翌年にワールドグランドチャンピオンズカップ(グラチャン)、中間年に世界選手権、前年にワールドカップ(W杯)が行われてきた。だが、日本で開催してきたグラチャン、W杯が廃止。世界選手権もこの数大会、男女もしくは、女子のみを行ってきたが、22年大会の開催権は獲得できなかった。

 「19年度の決算が赤字濃厚から黒字になったになったのも、W杯での男子の活躍が大きかった。もう少しでメダルというところまでいって、観客動員につながりました」と放送関係者。どうやって収入を増やすのかを考えるのが会長ら幹部の仕事だ。しかし、これらの大会に対する熱意が感じられないと、別の放映権を持つ放送関係者は嘆く。「我々が頑張っても、協会のバックアップはほとんどありませんでした。大会がなくなりそうになっているのに、それを止めようという動きはなかった」。FIVBは、W杯に代わって五輪最終予選をいくつかのグループに分けて開催する方向だが、日本協会の動きは鈍く、放送局任せだという。

 日本協会のある元理事は、理事候補者選考の過程を問題視する。約20人の候補者を選ぶのは役員候補者選考委員会の7人。過半数の票を得られれば、理事候補となるが、そのうちの1人が、嶋岡会長で「当事者が入って選考を行うのはおかしいのでは。少なくとも1票は自分に入る」と指摘する。

 19年の選考委員会では7人中4人が理事に選ばれる事態になってしまい、その独立性に疑念も生じたが、そのガバナンスコードについて、スポーツ庁の担当者は「禁止はされていないが、疑わしい可能性はある」と指摘した。「19年の時は、当然続けて選ばれるだろうと思っていた人が入らなかった。理事会で会長にとって耳の痛い意見を言う人たちだった。だから、選考委員会で会長の意向が反映されたように感じた」と元協会関係者と話す。

 嶋岡会長はこの4月に突然、日本バレーボール機構(Vリーグ)会長を退任。会見で「日本協会会長として東京五輪に注力したい」と話した。15年から会長を務め「世界一のリーグにしたい」と語り、17年に日本協会会長との兼務になった時にも「両立できる」と胸を張っていただけに、違和感が残った。あるVリーグ関係者は「16年からVリーグを配信した(スポーツ専門配信チャンネルの)DAZNとの契約が切れたのが退任の理由だろう。大きな収入がなくなり手に負えなくなり、投げ出したと思われてもしょうがない」とあきれた表情で話した。

 嶋岡会長は72年ミュンヘン五輪の金メダリスト。アタッカーもセッターもこなし、「プリンス」と呼ばれた。会長就任時には、その手腕を期待されたが「嶋岡さんはよく話を聞いてくれるし、いい人だと思う。だけど、多くの会議を行う割には、何も決まらない。決断力がないんです」と日本協会関係者。

 64年東京五輪でバレーボールは正式競技に認められ、「東洋の魔女」と呼ばれた日本女子代表は金メダルを獲得。それ以来、日本のお家芸として、長年、人気スポーツとして君臨してきたが、競技力低下とともに風前のともしびだ。57年の時を越えて迎えた再びの東京五輪で、バレーを取り巻く状況は困難を極める。かじ取り役は、よほどの実行力と精神力を持つ人でなければならない。(久浦 真一)

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