東北の“マイナー路線”で壇蜜と同じ電車に・・・山形出身の記者が感じたこと

生まれ故郷の横手市で8日に聖火ランナーを務めた壇蜜
生まれ故郷の横手市で8日に聖火ランナーを務めた壇蜜

 まさかだった。高校時代は、こんな未来は想像もできなかった。誰もが知っているような有名人と、たった2両しかない奥羽本線の電車に同乗する日が来るなんて。

 6月8日、秋田県内で東京五輪聖火リレーを取材した。横手市では、タレント・壇蜜を取材。壇蜜は同市生まれ。昨年、市内在住の祖母が亡くなったという。「一番、楽しみにしていたのはおばあちゃん。家を出る前に、祖母の写真に向かって『行ってくるね』と手を合わせた。いざ走り終わって、スピーチをしている時に祖母が亡くなった病院が目の前にあった。走れたよ、という気持ちでした」。ゆっくりとした口調で、感慨深そうに語る姿が印象的だった。

 私は入社後、大相撲やゴルフなどを担当。2013年に楽天を担当するなど、基本的にはずっとスポーツを担当してきた。東北支局での勤務は累計で8年目となるが、壇蜜を取材したのは、もちろん初めてだった。

 ただ、どことなく懐かしい気持ちはあった。私は山形出身。実家はちょうど山形と秋田の県境にあり、壇蜜の出身地である横手市にも、何度か行ったことがあった。聖火リレー後に壇蜜を取材をした場所は数年前、父や息子と一緒に「かぶと虫の展覧会」で行ったこともある場所だった。

 まだ幼かった息子がヘラクレスオオカブトを見て大喜びした思い出の場所での取材を終え、約1時間半後。私はタクシーで、最寄りのJR横手駅へ。駅構内の階段を上がった、その時だ。改札の近くに、明らかに一般人とは異なるオーラを持つ人を見かけた。あれ、もしかして? 首をかしげていたら、適度な距離感を保った数人の関係者が笑顔で頭を下げていた。「壇蜜さん、ありがとうございました」と。

 なぬ。本当に壇蜜なの? さっき取材したばかりの、あの壇蜜が、たった2両しかない秋田行きの電車に乗るの? 本当に驚いたけど、疑いようもない。切符を改札機に通して、ホームに向かったということは、そういうことなんです。記者が高校に通うために毎日のように利用したローカル路線に、壇蜜が乗ったんです。

 これまで、取材対象と同じ車や飛行機に乗ったことは何度もあったが、まさか奥羽本線の電車で、有名人と“同乗”する日が来るとは思わなかった。時間帯によっては数時間に1本しかない地元の“マイナー路線”。乗り遅れたり、乗り過ごした時は悲惨だった。高校がある駅まで、親に車で迎えに来てもらうなんてことも。この日も、横手駅午後0時56分発の秋田行きには乗車できず、午後2時過ぎまでの1時間強、時間をつぶすしかなかった。

 そんなあまり便利とは言えない電車に、なぜ壇蜜がわざわざ乗車したのだろうか。この電車に乗っていたのは、高校生を中心に2両で合計15人ぐらい。“三密”とは無縁な感じで、キャップを目深にかぶったマスク姿の女性を「壇蜜」だと気づく人はいなかった。きっと大曲駅で東京行きの新幹線へと乗り換えたのだと思うが、それなら車で大曲駅に向かった方が早いし、本人だとばれる心配をする必要もないのに…

 テレビ画面を通して見る彼女の魅力の一つは、どこか謎めいたところだった。実際に会って、取材してみた感想も同じ。やっぱり、どこか謎めいていた。(東北支局・高橋 宏磁)

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