山県亮太の魅力と東京五輪への期待感 復活の9秒95導いた高野大樹コーチが明かす

男子100メートル決勝、9秒95の日本新記録で優勝した山県亮太(代表撮影)
男子100メートル決勝、9秒95の日本新記録で優勝した山県亮太(代表撮影)
男子100メートルボルトのゴール時と主な選手の比較距離
男子100メートルボルトのゴール時と主な選手の比較距離

◆陸上 布勢スプリント(6日、鳥取市・ヤマタスポーツパーク陸上競技場)

 男子100メートル決勝で、山県亮太(28)=セイコー=が9秒95(追い風2・0メートル)の日本新記録を樹立した。これまで特定の指導者を置かずに取り組んできた山県は、今年2月から母校の慶大で短距離コーチを務める高野大樹氏(32)に師事。高野コーチがこのほどスポーツ報知の取材に応じ、山県の魅力と東京五輪に向けた期待感を明かした。

 山県が輝きを取り戻す転機は今年2月。これまでは特定の指導者を置かずにやってきたが、「自分の感覚だけでなく、コーチの目を通して最短距離で走りを完成させたい」と慶大短距離コーチの高野大樹氏へ師事した。

 高野氏「(慶大グラウンドのある)日吉でご飯を食べて『お力をお借りできませんか』と。自分で練習メニューは考えたいので、もっとこうしたらいいとか、流れが違うとかがあれば、どんどん意見してほしいということでした。僕は『一緒にやって合わないと思ったらすぐに切ってくれ』と。彼がコーチと合う、合わないで停滞すること自体が日本陸上界の損失ですからね」

 間近で指導し、一番の魅力はやはりスタートにあると実感する。16年リオ五輪では、第1走者で400メートルリレー銀メダルに貢献。ロケットスタートの極意を「2~3メートル先のゴミを拾うイメージ」などと語った。

 高野氏「スターティングブロックから出る時は、どうしても動きが分断されるもの。でも、山県は上方向に伸び上がってしまうことが100%なくて、真っすぐ前へ進む。3歩先まで先取りして動けているのは、日本では彼だけじゃないかなと思っていますし、そこが安定性の源でしょう」

 高野氏は11年からパラ陸上の高桑早生(さき、29)=NTT東日本=を指導し、パラリンピック2大会連続出場へ導いた。18年からは、7人制ラグビーを経て陸上に再転向した女子100メートル障害日本記録保持者の寺田明日香(31)=ジャパンクリエイト=も指導。種目や性別を超えたトップ選手を育てる異色のキャリアを歩む。

 高野氏「(義足の高桑と)同じ感覚を共有できないのに、どう思考すればいいか考え抜いたのが僕の原点です。その点、高桑と最初に出会えたのは大きかった。寺田も僕が経験したことがないラグビーから来て、男女の違いもあって共感は難しい。でも、最初に高桑との経験があったから頑張れました。山県もそう。僕が10秒00で走ることはもう不可能だけど、(山県が)9秒台を目指さないといけない。考え方を変えれば、健常者が義足の選手を教えるのと、本質的に変わらない」

 好記録で東京五輪代表へ前進した山県。高野氏が日々意識するのは、決勝直前のウォーミングアップ場だ。

 高野氏「五輪のファイナリストになって、決勝直前に動きが崩れてしまったとする。その時、2人で修正しきれるかが勝負だと思うんです。その努力は、普段から意識していないと、絶対にできない。努力を怠って『あ~やばい、動き戻らなかった…』って送り出すのは最悪。選手も後悔する。お互い、同じ方向を向いて、どれだけ対話できるかを大事にしていきたいですね」

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