◆日本生命セ・パ交流戦 阪神4―6ロッテ(27日・甲子園)
ロッテの高卒2年目右腕・佐々木朗希投手(19)が夢に見た甲子園でプロ初勝利を挙げた。セ首位の阪神に5回7安打4失点(自責3)も、6回に角中の2点適時二塁打と敵失で逆転に成功。プロ2度目の登板で初白星をつかんだ。94球を投げ、最速は154キロ。聖地で“令和の怪物”に勝利の女神がほほ笑んだ。
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佐々木朗には、いつも厳しい見方をしてしまう。それは、私が彼のことを「いい投手」と認め、期待するものが大きいからだ。だから、この日のような投球には少しがっかりする。
ストレートは152キロ前後を表示しているのに、空振りが取れない。なぜか。ボールの質が悪いからだ。かつての江川卓を例に挙げる。球速は150キロ前後だった。しかし、江川はストレートで空振りが取れた。ボールの“持ち”がよく、スピンが利いていて、打者が頭に描く球道の上をボールが通るからだ。
今の佐々木朗にはそれがない。バットに当てられるから球数が増えていく。5回、ストレートが150キロを割るようになり、それまで低めに決まっていたフォークを再三たたきつけた。疲労ではないだろうか。
高校時代に160キロを投げていた投手が、なぜこうなったのか。スピードを抑え、コントロールを重視したからだろう。ボールを最後に“切る”感じがない。大げさに言うと「置きにいく球」だ。今の球の質では150キロの球でも主力級には通用しない。
160キロ近い球なら「その辺に投げる意識」さえあれば打たれない。佐々木朗には目標をもっと高いところに置いてもらいたい。君はそれだけの素質を持った投手なのだから。(スポーツ報知評論家・堀内恒夫)