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大坂なおみ「心の健康無視されている」全仏OP会見拒否表明 罰金制度にも「笑うしかない」

スポーツ報知
大坂なおみ(ロイター)

 女子テニスの大坂なおみ(23)=日清食品=が27日、全仏オープン(OP、30日開幕・パリ)の期間中は記者会見に応じない意向を自身のSNSで表明した。2月の全豪OPに続く4大大会連勝がかかる戦いを前に、「アスリートの心の健康状態が無視されている」と主張。会見を拒否すれば主催者から罰金が科される制度にも「笑うしかない」と厳しい言葉を向けた。大坂の思いを、大和田記者が「見た」。

 コロナ禍から昨年8月のツアー再開後、オンライン会見が主流になったお陰で、大坂の会見にはほぼ全て出席してきた。直近はイタリア国際開幕前の9日。テニスよりビジネス関連が中心で、私も東京五輪に関連してワクチン接種について聞いた。12日の2回戦敗退後は会見がなく、主催者に連絡すると「要望がないので帰った」との返信。その後、大坂のSNS投稿が止まり、気持ちの整理に時間がかかるのだと解釈していた。

 16年から大坂を取材してきて、泣いたり不機嫌になっても、怒ったのは記憶にない。さすがに18年全仏OP1回戦後に「みんな友達な感じ」と日本語で話したような距離の近さ(物理的にも)はないが、「お疲れさまです」には「ありがとうございます」と返し、冗談も言う。20年全米OP後、人種差別問題を何度聞かれても誠実に答えてきた。

 関係者によると数日前、和やかに応じた取材もあったが「以前から拒否=罰金は疑問視していた」という。振り返ると伏線はあった。「大会中はテニスのことだけを考えたい」「不器用だから複数のことを同時に考えられない」…。23歳でスポーツ界トップ級の発信力があり、言葉一つにも気を使う。4大大会連覇がかかるのは苦手のクレーコート。コート内外の重圧が、今まで以上だったのは想像に難くない。何かで不満が爆発し、開幕前の公式会見以前に先手を打ったのだろう。

 一人の人間として大坂の主張は理解するが、記者としては、会見はプロ選手の仕事の一部と考える。つらくても人前に立ち、考えを話す。こちらも敬意を持って接する。一方通行のSNSと違い、相互通行だから生まれるものがある。2日のマドリードOP2回戦後は敗因を分析して受け止め、前に進む言葉が多く聞けた。これまでの思考停止したような敗戦の弁とは違った。変化を感じたからこそ、今回の意思表示は残念でならない。(テニス担当・大和田 佳世)

 ◆大坂の会見アラカルト

 ▼17年9月 全米OP3回戦敗退。試合を振り返るうちに泣き出し、マネジャーが会見打ち切り。

 ▼18年7月 ウィンブルドン1回戦に勝利。W杯期間中で、サッカー日本代表のユニホームを着て上機嫌。

 ▼19年6月 ウィンブルドン前哨戦で敗れ会見拒否。罰金5000ドル(約54万円)が科される。

 ▼同7月 ウィンブルドン1回戦敗退。4分ほどで「泣きそう」と退出し、そのまま戻らず。

 ◆テニスの会見 どのツアー大会でも設定され、試合前までに「勝った場合のみ」「勝敗かかわらず」の2パターンで報道陣の要望を受け付ける。4大大会規定には「シングルス本戦出場選手は、開幕2日前から要請があれば会見を開かなくてはいけない」と明記され、違反すれば最大2万ドル(約218万円)の罰金が科される。進行は英語→母国語の順で、大坂は日本語の質問に対してもほぼ英語で回答する。優勝会見以外は最長30分程度。

 ◆他競技での会見拒否への罰金 テニスと同じ個人種目でプロツアーがあるゴルフでは、日本男子ツアーは「マスコミ対応に対する違反行為」として、制裁金100万円以下を科す可能性があるという。日本女子ツアーは、規定に選手の義務の一つとして「広報活動への参加」があり、記者会見を拒否すると、状況に応じて注意か5万円以上の罰金が科される。ただしゴルフの場合、会見に呼ばれるのは前年大会覇者、大会スポンサーと契約する選手や各日1位の選手ら。基本的に成績の良い選手のため、国内男女ともに「会見を拒否して罰金を科された前例はない」という。

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