増田明美さん、女子マラソン代表内定3選手を分析 野口みずきさん以来の表彰台期待

女子マラソン代表内定者
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女子マラソン直近の主な好記録
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東京五輪女子マラソン内定者比較表
東京五輪女子マラソン内定者比較表

 7月23日の東京五輪開幕に向けて、週替わりのテーマで連載企画をスタートします。第1週は「必見」。初回は、女子マラソンでスポーツ報知の評論を担当する1984年ロサンゼルス五輪代表の増田明美さん(57)=スポーツジャーナリスト=が、代表内定3選手の注目ポイントを紹介。強豪のアフリカ勢と渡り合う鍵に“先手必勝”を掲げ、2004年アテネ五輪金メダルの野口みずきさん(42)以来となる五輪表彰台へ期待を込めた。(取材・構成=細野 友司)

 長いトンネルの出口は明るい。野口さんがアテネ五輪を制して以降の3大会、日本勢は入賞からも遠ざかってきた。東京五輪へは、自己記録2時間20分29秒の一山を筆頭に、新設の「MGCシリーズ」を勝ち抜いた3人が内定。戦略次第で表彰台に食い込む力はある。

 「今回の3人には、メダルを期待してもいいと思います。それにはチームジャパンとして、アフリカ勢の“刀のキレ味”を鈍らせることが大事。刀とは、終盤のスパートです。先頭についていくだけでは最後に離される。前半から仕掛け、ある程度、速いペースで相手を疲れさせれば対抗の余地がある。野口さんも、アテネは25キロからロングスパートで勝ちましたね」

 3選手で持ちタイム最速の一山は「腰回り」が必見。積極的な走りにレース序盤から目が離せない。

 「骨盤が前傾し、お尻がキュッと上がっている。アフリカ勢のようにダイナミックな走りが魅力ですね。スピード持久力を高める練習もしっかり積めていて、1月の大阪国際女子の前は、短い休憩を挟みながら5キロを15分35秒→3キロを9分12秒→1キロを2分57秒とペースを上げて走る練習をこなしたそうです。これは、野口さんがアテネ直前にやったのと大差ない高負荷の練習。この“金メニュー”をこなせるのだから、主導権を握れます」

 増田さんが“ど根性フラミンゴ”と名付ける長身166センチの前田は「手足」に注目。中盤以降の厳しい競り合いで魅力が光りそうだ。

 「穂南さんの父・哲宏(あきひろ)さんはラグビー経験者。才能を受け継ぎ、166センチの長身を生かし切って走るセンスを感じます。ゆったりと大きな動きで歩幅を稼ぎつつ、ピッチも少なくない。同じ長身だと、野口さんのライバルだった元世界記録保持者のラドクリフさん(173センチ)が浮かびますけど、彼女をパワー型の“アメ車”に例えるなら、前田さんは“電気自動車”のよう。本当に無駄がないんですよね。身のこなしが洗練されていて、つらくなる局面でも乗り切っていけるでしょう」

 日の丸を背負う3選手。レース中はライバルでも、大会へのチームワークや結束も重要だ。そこで、ものをいうのが、最年長29歳の鈴木が発揮するリーダーシップ。16年リオ大会で5000メートルに出場し、五輪の舞台を経験済みなのも大きい。

 「威張らず、誰からも尊敬される人柄は、まさにリーダーにふさわしい。家族愛に育まれた人間力が根底にあると感じます。母方の祖母・村松千枝子さんは、愛知・豊橋市の岩屋山に毎日歩いて登っているそうです。頂上の岩屋観音に10円玉をお供えして『無事にスタートラインに立てますように』と。家族に支えられていることは力になりますね。大舞台で決して外さない亜由子さんの集中力は、五輪2大会連続メダルの有森裕子さんに通じるものも感じます。本番で100%ではなく120%の力を出せる。チーム一丸、胸を張って駆け出してほしいですね」

 ◆展望 メダル争いの軸は、やはりアフリカ勢。勢いがあるのはケニアで、コスゲイは19年秋に2時間14分4秒の世界新。チェプゲティチは19年ドーハ世陸を制した。エチオピア勢では20年東京マラソンで2位に入ったB・ディババらが実績豊富だ。五輪では、高温多湿な“日本の夏”への適応も求められる。日本勢に2時間19分台のランナーはいないが、地の利の後押しは大きい。増田さんも「アフリカ勢は湿度の高さを一番嫌う。条件が悪いほど、アフリカ勢との持ちタイムの差が縮まり、日本勢にとってチャンスが出る」と見通した。

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