◆明治安田生命J1リーグ第15節 札幌2―0清水(22日・札幌ドーム)
攻守の切り替えがしっかりできれば問題ないと見ていた清水戦だったが、その通りにいい内容で勝利した。前線はすぐにプレスをかける一方で、後ろは一発で行かずに対応していた。パワーの使いどころが明確で、選手は自信を持ってやれていた。
左ウィングバックに入った駒井が効いていた。彼は守備のバランスを考えられるし展開力もある。縦を狙う素振りを見せながら中に勝負したり、サイドの選手ならではの視野の広さがある。彼のようにサイドがいい位置を取れると、今の札幌のサッカーは活気が出てくる。
状態の良くない時の札幌はボールロストを恐れ、個々の距離感が近くなっていた。安全な位置にしか出せないから相手も守りやすかった。しかし0―2で敗れた首位・川崎戦(第14節)の後から個々の距離が遠くなり、パスの選択肢が増える状況が作れている。距離がある分、奪われる確率は高まるが、サイドで1対1の状況が作れ、そこから中に入れた際はサポートが入ることで2対1と数的有利になりチャンスが作れている。リスクはあるが、今はこういう戦いが向いている。
試合終盤、金眠泰が一発退場になった。1度目の退場となったF東京戦(第8節)は軽率な反則だったが、今回は自分のミス。ショックを受けているようだが、誰にでも起こりえるものだし、自分で乗り越えるしかない。責任感を持ち過ぎた故の反則ではあるが、2―0だっただけにGKの菅野が止めてくれることを信じ、最低1点取られてもというクレバーさは必要だった。ミスをばん回できるのはピッチの上だけ。1人減るより11人が残ることを選択すべきだった。ただここまで何度もチームを助けてくれた選手なのは確か。ここからミンテが成長し、より大きな選手になってくれると期待している。(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)