「しっかり目に焼き付けて」珠城りょう“月組魂・伝承式”

スポーツ報知
「退団が頭によぎる瞬間がないぐらい没頭できる」とラスト作に全力の宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょう

 宝塚歌劇月組トップスター・珠城りょうが、兵庫・宝塚大劇場で上演中の「桜嵐記」「Dream Chaser」で、8月に同時退団するトップ娘役・美園さくらと共にサヨナラロードを歩んでいる。2016年9月に入団9年目でトップに就任し、卒業時で約4年11か月。「月組を絶対、守り抜く。皆さんの愛情に全力で応えていく。その気持ちがすべての原動力でした」。月組一筋で走り続けた“月の皇子”が入魂のラストスパートをかけている。(筒井 政也)

 トップスターとしては早い14年目での卒業だが、その分、濃厚に得た学びをフルに発揮したラスト作だ。

 「桜嵐記」は「太平記」で知られる鎌倉幕府滅亡後の南北朝の動乱期が舞台。公家の南朝は吉野山に逃れ、もはや滅亡寸前だが、楠木正行(まさつら=珠城)は民を思い、北朝との四条畷の合戦に踏み込む。

 死を覚悟しているため、心を通わす弁内侍(べんのないし=美園)とは出陣前日、桜散る中、身を寄せ合うだけ。耐える男の哀愁は、珠城の持ち味にぴったりで、所作も美しい。「命懸けで戦う武将は、精神力と体力をすごく使うのに、クライマックスに向けてさらにクレッシェンド(だんだん強く)しなければいけない。男役の力量が試されますね」

 演出の上田久美子氏から正行像について「大きく幹が太く、まっすぐな木のイメージ」と伝えられた。「私もよく『ドシッとして安心感がある』と言ってくださる(笑い)」と重なる点も感じ「敵兵からも慕われ、身分や立場の違う人に対しても平等に接していく精神がステキ。私も宝塚の世界でも常に大事にしてきた部分。一度こうと決めたら貫く、不器用な生き方も似てるのかな」と共鳴する。

 「限りを知り 命を知れ」というキャッチコピーが深い。「正行は負け戦と分かっていて出立する。タカラジェンヌもいつかは卒業する。その日までどう生きていくか」。瞬間にきらめくエネルギーの連鎖こそ宝塚の歴史。同時退団の2代目パートナー・美園とは「皆さんからいただく気持ちと真摯(しんし)に向き合って、最後までいい形で舞台を作ろう」と話したという。

 一方の「Dream―」は製作にあたり「これからの未来に希望を持っていただけるようなものに」と要望した。「主題歌はさわやかで明るいけれど、どこかちょっと切なくて、心に温かいものが残るような。まさしく思い描いた世界観。男役・珠城りょうの姿をしっかり目に焼き付けてほしい」。終盤は黒えん尾の群舞から美園とのデュエット、そして男役との“月組魂・伝承式”。芝居とはまた違う種類の涙を誘う場面だ。

 「9年目でトップに就任して、未熟なのは自分が一番よく分かっていましたが、だから月組の舞台の質が落ちたと言われるのは絶対に嫌だった。みんなの笑顔がキラキラして、のびのびして切磋琢磨(せっさたくま)していける組にしたい。その夢を追い求めていました」。サヨナラ公演はその完成の場となる。

 残り3か月弱。コロナとの闘いも続き、先の雪組トップコンビ卒業と同様、パレード開催は望めない状況だが「ファンの皆さんは戦友という感じ。直接『ありがとう』と言えないのは心苦しいですが、感謝の気持ちは絶対に舞台から届けられると思う。余すところなく伝えたいです」。最後まで満月の輝きを放ち続ける。

 ◆珠城りょう(たまき・りょう)10月4日生まれ。愛知県蒲郡市出身。2008年3月「ME AND MY GIRL」で初舞台。第94期生。16年9月、月組トップスターに。研9でのトップ就任は、月組・天海祐希の研7(93年)に次ぐ2番目の早さだった。身長172センチ。愛称「りょう」「たまき」。

月組次期トップコンビ月城かなと&海乃美月

 〇…月組の次期トップコンビは第95期の月城かなと、第97期の海乃美月に決まった。月城は17年に雪組から月組へ組替え。珠城は「れいこ(月城)は1期下でも月組に来るまで全く接点がなく、ちゃんと話をしたのもそれからなのですが、十分キャリアを積んでいますし、心配はしていません」。海乃は月組一筋で「I AM FROM AUSTRIA」(19年)では珠城演じる主人公の母親役を務めたことも。「安定した2人。思うことをやっていけばいいんじゃないかな。それを楽しみにひそかに見守りたい」と笑顔で話した。

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