東幕下7枚目・阿炎(錣山)が、7番相撲で東幕下49枚目・出羽ノ龍(出羽海)との全勝対決を押し倒しで制して7勝目。幕下全勝優勝を決め、名古屋場所での関取復帰を確実にした。
立ち合いから左のど輪で攻めると、相手がバランスを崩したところを一気に押し倒した。日本相撲協会の新型コロナウイルス感染予防ガイドライン違反による3場所出場停止から、先場所復帰し負けなしの14連勝。「1番ずつ集中できた場所だったと思う」と、2場所連続優勝をかみしめた。
昨年7月場所中、接待を伴う店に行っていたなどしガイドライン違反が発覚。過去の不適切な言動による厳重注意なども重なり、3場所出場停止処分を受けた。家族とも離れ、部屋で約8か月間の謹慎生活。復帰の春場所に向け、稽古を積んで来た。
幕下下位から復帰した春で全勝優勝。「土俵に上がれる喜び、応援して下さるみんなの声が全部合わさって、この2場所につながったんじゃないかと思います」と阿炎は語った。謹慎中、「厳しい言葉もかけてもらって、温かい言葉もかけてもらった」。それら全てが「励みになって、場所に向かって行けた」という。
三役経験者として“勝って当たり前”の中、白星を重ねた。「前よりも、土俵にものすごく集中できている気がする。前も集中していましたけど、それ以上に集中していると思う」と、成長の手応えを明かす。引退も覚悟した中、再び土俵に上がるチャンスをもらった。「前に進ませてもらった以上、前に進んで行かないといけない」と腹はくくっている。
現在もコロナ感染予防の観点から、師匠や家族と相談した上で、家族とは離れて錣山部屋で生活しているという。昨年誕生した長女とは、毎日テレビ電話をしていると言い「少しずつ顔が変わってきたりというのを見られているので」。何より支えとなったのは、師匠の錣山親方(元関脇・寺尾)や家族の存在だ。阿炎は「師匠には、帰ってすぐに一番に『今場所も集中して相撲を取れました』と報告して、その次に家族にも伝えたい」と話した。